連邦政府が経済にてこ入れ
連邦政府は11月12日、景気の冷え込みに備えて最高15億フラン ( 約1200億円 ) の公的資金の注入を行うと発表した。うち9億フラン ( 約730億円 ) は緊急援助に費やされる。
具体的な案としては、すでに決定済みのおよそ3億4000万フラン ( 約275億円 ) の資金を前倒しにし、2009年の予算に組み込むことになった。これらの資金は、洪水調節、自然災害対策、非軍事的連邦施設、あるいは建物のエネルギー設備の近代化などに投入される予定だ。
積極的に投資
ドリス・ロイタルト経済相は
「この対策は維持費負担という分野に偏っているかもしれないが、この資金注入がもたらす付加価値は大きい」
とその効果に期待する。連邦政府はまた「軍備計画2008」にも期待を託している。冬季会期で同案が可決されれば、3年間でおよそ1000の雇用が新たに作られると予測されるためだ。さらに失業者雇用積立金からもおよそ5億5000万フラン ( 約442億円 ) を放出し、企業約650社に還元することになった。
ロイタルト経済相によると、2009年に予定されている負債制限によって予算に10億フラン ( 約8000億円 ) の余地が生まれる。経済状況がさらに悪化した場合には、上記の3億4000万フランの残り、6億6000万フラン ( 約530億円 ) も注入可能だという。その際の投資の主な対象は、鉄道インフラと古い建物のエネルギー設備の近代化だ。連邦政府の目的は「2009年と2010年に実行可能な投資先をすべて援助すること」だが、具体的な決定は来年の2月か3月まで待たなければならない。
また、ロイタルト経済相は
「来年はこれ以上の引き締め策を取ることを控えて欲しい」
と各州にアピールし、
「現在のような経済状態では、国家が費用を節約したりプロジェクトの実施を見合わせたりしようとするのはまったく歓迎されない。来年は賃金付帯費用の引き上げも見送るべきだ」
と語った。
各政党の反応
連邦政府の景気てこ入れ策に対する反応は比較的冷静だ。左派と労働組合は、連邦政府のためらい気味の姿勢を批判するとともに、この対策の効果も疑問視している。また、UBS銀行に対しては数十億フランにも上る公的資金注入を行っているのだから、今回の景気対策にももっと多額の資金を注入するべきだったという見方だ。国民党 ( SVP/UDC ) からも「間違った対策だ」という声が届いており、同党は
「2009年以降、付加価値税を引き下げ、昨年の余剰金を国民に還元するべきだ」
と主張している。
満足感を示しているのは中道政党と経済界だ。キリスト教民主党 ( CVP/PDC ) と急進民主党 ( FDP/PRD ) は連邦政府の迅速な措置を歓迎し、これらの対策を目標にかなったものと評価した。ただし、急進民主党は逆進税に対する即時の補整が必要だとみている。商工会連盟の「エコノミースイス ( economiesuisse ) 」の反応もおおむね肯定的だった。これらの対策は、12月に開かれる連邦議会の予算審議で採決される予定だ。
swissinfo、外電
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