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スイスの時計専門競売アンティコルム、設立30周年を迎えて

時計専門競売アンティコルム社のショールームにはコレクターズの腕時計や置時計が並ぶ。 swissinfo.ch

スイスの時計王オズワルド・パトリッツィ氏は日曜日になると、必ずすることがある。自分が集めてきた置時計がきちんと動いているか調べるのである。「僕が一番好きな時間は、こうやって時計に話しかける時でね。そうすると、3分遅れている時計の針が、2分、1分と縮まっていくんだよ」と真顔で言う。

このコンテンツは 2004/06/03 15:07

ジュネーブで時計専門の競売大手アンティコルムの前身を設立してから30年。同社が4月にジュネーブで開いた競売の落札総額は3, 300万フラン(約29億円)と好調だった。一品当たりの落札額も世界一を記録する。

人はなぜ高価な時計を買いたがるのか。「それは、どこかで他人と差をつくりたがるから」とパトリッツィ氏は語る。「腕時計はその人の地位だけでなく、その人が持つ文化の質も見せるからね。だから皆、自分だけの腕時計を買い求めるのさ」と話す。

初めての競売

アンティコルム社の最初の競売は、プロの目からすれば大失敗だった、とパトリッツィ氏は振り返る。「感情的に高ぶっていて泣き出しそうだったのを今でも覚えているよ。何しろ、何が起こるか見当もつかなかったからね」と笑う。

競売人には経験のあるドイツ人を使うはずだった。「でも本番が始まると、200人ほど集まったお客さんの前で足がすくんでしまったみだいでね」。雇われたプロは、それまで20人程度の客しか相手にしてこなかった。言葉の問題もあった。

結局、従業員の女の子がステージに上がった。「免許も経験もないのに、だよ。大した度胸さ。本当によくやってくれたよ。あとからわかったことだけど、僕達の素人っぽいところがお客さんには受けたようだった」。

初めてやった競売の落札総額は、180万フラン(約1億5,900万円)。パトリッツィ氏自身に儲けはなかった。だけど「これはイケる」。お客の反応は自信に繋がった。

時計への情熱

イタリア生まれのパトリッツィ氏は、ミラノで時計職人となる。アンティーク時計の修理を専門にしてきたが、もっと大きなことがしたかった。だが、70年代のイタリアでは、15,000リラ以上を持ち出して海外を自由に行き来することは法律で禁じられていた。

74年にイタリアを飛び出す。スイスに来たのは、「事業を起こすのが簡単だったから」。スイスの時計産業の中心地ジュネーブを目指した。自分の店を持つことより、競売を企画することに思いを巡らせた。

「時計専門店だったら、店内に並ぶのはせいぜい30〜40個の時計だろ。でも競売だったら、いろんな国の、違う時代の時計が500個以上も一気に取り寄せられる。世界中から売り主と買い手も呼び寄せられる。これはイケるはずだ、と信じたんだよ」と話す。

アンティコルム社は時計の収集で次第に存在感を示し始める。世界の時計市場に影響力を持つ現在、ジュネーブとニューヨークでそれぞれ年に4回、香港で1回、腕時計や置時計の競売を行う。

パトリッツィ氏自身、自分への投資も怠らない。「自分のところで3月にやった競売で2つ、自分のための時計を買ったんだ。値段?そりゃあ、お手ごろな値段さ」。そう言って、ウインクしてみせた。


スイス国際放送 ロバート・ブルックス 安達聡子(あだちさとこ)意訳

補足情報

アンティコルム社は現在、ジュネーブとニューヨークでそれぞれ年に4回、香港で1回、時計専門の競売を行う。

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