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スイスの銀行、EUとの新課税で「抜け穴」商品投入へ

スイスのロイ銀行が新ユーロ債を発行。EUの利子所得税を回避できる。 Keystone Archive

5月に締結されたスイスと欧州連合(EU)の2国・地域間協定(バイ協定)で、スイスの銀行の守秘義務が守られた見返りに、EUからの預金者にはスイスで得た利子所得に新たな税金が課せられることになった。

このコンテンツは 2004/06/08 15:14

このため、新課税導入の「抜け穴」として、スイスの銀行が新しい金融商品を相次いで開発している。

スイスの金融機関はこうした新商品の手数料だけで約20億フラン(約1,800億円)の収入を見込んでいる。ただ、新課税の回避策は富裕層に的を搾っているため、一般市民には無縁の話。一般市民は順当に税金を納めるしかないようだ。

利子課税の中身

スイスの銀行に口座を持つEU居住者に対する新たな利子課税を巡り、今回のバイ協定でスイスは今後7年間で税率を15%から最高35%まで上げていくことが決まった。徴収された税金の4分の3はEU当局に支払われる。

大手国際会計事務所KPMGの税金の専門家トーマス・ジャウシ氏は、今回の利子課税にはいくつもの抜け穴があると指摘する。「個人的意見だが、お金をたくさん持っていたら、この税金を避ける方法は見つかるはず」と話す。

例えば、株や債券、デリバティブ(金融派生商品)や金などの売り買いで得られた配当金は、課税の対象になっていない。また、2002年3月前に発行された国債も対象外としている。

このため、預金者は今後、課税対象となっていない金融商品に資産を振り替えることが予想される。地元のある新聞は、少なくとも2,000億フラン(約18兆円)の資産が課税対象でない金融商品に再配分されると推定している。

抜け穴合戦

資産の切り替えをにらみ、銀行も個人向け投資信託の販売に熱を入れている。手数料収入が得られるからだ。

スイスでプライベートバンクの老舗として知られるロイ銀行は先月、利子課税回避策の一環として、ユーロ債投資ファンドを発行した。スイスの2大銀行であるUBSとクレディ・スイスも現在、似たような商品開発の案を練っている最中という。

ただ、こうした資産の切り替え対策も、元手が大きくないと意味がない、とジャウシ氏は指摘する。

ドイツ語圏の新聞ターゲスアンツァイガ—は、今回の新課税導入を「正直者がばかを見る税制」と揶揄している。


スイス国際放送 ジェイコブ・グレーバー 安達聡子(あだちさとこ)

補足情報

EUとのバイ協定合意内容:

�@ スイスの銀行に口座を持つEU居住者に利子課税

�A EU加盟国間の国境検問の段階的廃止を認めるシェンゲン・ダブリン協定へ参加。国境を越える犯罪や難民問題で両者が協力

�B 間接税の脱税について取り締まり援助を提供

�C 加工食品企業への輸出課税を廃止

�D EUの教育計画への全面参加

�E ヨーロッパ環境機関へ正式に加盟

�F EUの統計局に規格を合わせる

�G EUの映画促進計画への全面参加

�H 在スイスのEU国籍年金生活者への課税を撤廃

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