
スイス、パレスチナの国家承認は国民投票に委ねられる可能性

スイスでは連邦政府に対し、国民投票によってパレスチナの国家承認を求める動きが起こっている。果たして可能なのか。

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概要は?
ある勢力が、スイス連邦にパレスチナの国家承認を求めるイニシアチブ(国民発議)を計画している。フランス語圏のスイス公共放送(RTS)の調査によると、連邦内閣事務局はこの発議を有効と宣言した。そのため、イニシアチブ成立に必要な署名集めがまもなく開始される可能性がある。

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イニシアチブが求める内容は?
イニシアチブは、次の事項を連邦憲法に明記するよう求める。「国民投票でイニシアチブが可決されてから3カ月以内に、連邦内閣は国連事務総長と国連総会に対し、パレスチナ国家を承認する宣言を提出しなければならない」
イニシアチブは誰が立ち上げようとしている?
26人のメンバーからなる委員会だ。市民社会代表、弁護士、ラファエル・マハイム下院議員(緑の党)ら左派議員が名を連ねる。社会党(SP/PS)と緑の党(GPS/Les Verts)が政党としてこのイニシアチブを正式に支持するかどうかは、まもなく決定する。

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なぜイニシアチブなのか
パレスチナを国家承認する国が増えている。しかし、この問題はスイス議会で議論が続く。連邦内閣は、国家として承認するには時期尚早だという立場だ。
「連邦議会は二国家解決を強制するという職務を果たしていない」と、イニシアチブ共同発議者のラファエル・マハイム氏は批判する。このため国民発議をその手段として利用するという。
憲法によって政府に何かを強制することは可能か?
バーゼル大学のマルクス・シェーファー教授(憲法学)は「可能だ」という見解だ。「ただし、求められる行動が強行法規である国際法に違反しないか、不可能でない場合に限られる」
奴隷制の導入などを連邦内閣に要求することはできないが、パレスチナ国家の承認は可能だという。「もちろん、それが理にかなっているかどうかは別問題だ」とシェーファー氏は話す。
可能性はどのくらいある?
「この問題は強い反応を引き起こす」と政治学者のミヒャエル・ヘルマン氏は指摘する。国民の大多数は、中東紛争におけるスイス政府のイスラエルに対する抑制的な姿勢に反対しているからだ。
「とはいえ、イニシアチブが成立する可能性は低いと考える」。政府への明確な指示を憲法に書き込むことに、多くの人が躊躇することが理由だという。
最大の障壁は?
イニシアチブが成立し、国民投票が行われるまでには通常2~3年かかる。そのため、イニシアチブ手続きを加速させる手段としては限定的な効果しかない。しかし、国民への問題提起としては十分な効果がある。
独語からのDeepL翻訳:宇田薫
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