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スイス代表、チェコとの開幕戦に惜敗

スイスのフィリップ・センデロス ( 左 ) とチェコのヤン・コラーの空中対決 Reuters

開幕戦が行われた6月7日は長袖に上着がないと震えそうな天気だった。だが、幸い雨は降らず、選手たちにとってはプレーに適した気温だったかもしれない。4万人を収容できるバーゼルのザンクトヤコブ・パーク・スタジアムは満席。中にはアルプホルンを持ち込んでいるファンも見かけられた。

試合開始の20分前、976人の男女が緑の芝生の上で大きなサイコロを頭上に掲げてパフォーマンスを披露した。そのサイコロが、スイスとオーストラリアの典型的な風景ともいえる湖や雪山を作り、その上をヨットやスキーヤーが滑る。あるいはまた、ウィンーナーワルツの曲とともに優雅な人形が舞い踊る。

圧倒したスイス

 そしていよいよ選手の入場。上下を赤で固めたスイス選手。対するチェコの代表選手は白一色だ。試合開始後すぐに、スイスのキャプテンを務めるアレックス・フライがゴール前まで詰め寄る。その後もヴァロン・ベラミやインラー・ゲカンがゴールチャンスを得るなど、スイス代表は20分近くチェコを圧倒し続けたが、その後チェコも押し返し始め、充実した展開となった。

 しかし、前半終了数分前の42分、フライがファウルを受け、左ひざを押さえながら苦痛に顔を歪めて起き上がれなくなった。両肩を抱えられ、泣きながら退場するフライ。無念さに肩を震わせるこの姿がけがの重さを物語っていた。後の診断の結果、左ひざの内側側副靭帯の一部断裂で復帰までに6週間を要すると発表された。期待の星フライのEURO2008はわずか40分ほどで幕を閉じた。

1回きりのチャンスを活かしたチェコ

 後半は心なしか、観客もスイス代表も少し勢いがなくなったかのようだった。けがで退場したフライに代わって起用されたのは、ベテラン選手のハカン・ヤキン。試合再開後、それでもスイスはまたすぐにゴール近くで数多くのチャンスを作り、60分過ぎまでコーナーキックやフリーキックが何度も繰り返された。フライも松葉杖をつきながらベンチに戻って試合を見守る。

 だが71分、途中でヤン・コラーと交替したチェコのヴァクラフ・スヴェルコスがディフェンスのミスを突いてそのままゴールを決め、チェコが1対0でリードする。その後、スイスチームにはシュテファン・リヒトシュタイナーと交替したヨハン・フォンランテンのシュートがクロスバーに当たるという大きなチャンスも訪れたが、結局最後まで数あるチャンスを活かすことができないまま、開幕戦は終了した。

不運にもめげず

 試合中、スイスのゴール前でチェコの選手の手にボールが当たった場面が2度あったが、審判はこれを故意ではないと見てプレーを続行させた。試合後、スイス国営テレビドイツ語放送のインタビューを受けた選手たちは、フライの欠場や2度のハンドリングの疑いに残念そうな様子を見せたが、彼らの目はすでに水曜日の対トルコ戦に向いている。ヤコブ・クーン監督も良い試合を行ったとチームを褒め、残りの2試合に全力投球する前向きな姿勢を見せた。

 昨晩ジュネーブで行われたポルトガル対トルコの試合では、ポルトガルが2-0で勝利を収めた。スイスの次の試合は6月11日の対トルコ戦。この試合に勝たなければ、スイスの予選通過は難しい。

swissinfo 小山千早 ( こやま ちはや )

6月11日 スイス-トルコ、バーゼルで20時45分開始

6月15日 スイス-ポルトガル、バーゼルで20時45分開始

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