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スイス政府、テロ防止法強化

連邦政府は27日、国際テロ防止に関する二つの国連条約の批准と、それに係わる刑法改正および国内安全保障に関する新法作成を発表した。

「昨年9月11日の米同時テロ以降、テロ防止とテロとの戦いにおける国際協力の重要性は無限に高まっている。」とルート・メツラー司法警察相は、ベルンで行われた記者会見で述べた。また、連邦警察局のジャン=ルク・ヴェズ局長は、連邦政府はスイスがテロリストの主な標的になる事はないと認識しているが、国内セキュリティーの強化が必要である旨を次ぎのようにswissinfoに語った。「スイスは安全な国だ。が、多くの国際機関・外交機関が集中しており、それらがテロの標的となる可能性は常にある。」。

スイスは既に10のテロ防止に関する国連条約を批准しているが、今政府が計画しているのは残る2つの条約の批准だ。97年国連総会で採択された「テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約」は、犯人引き渡しを要求する国家に引き渡しを行わない場合は、犯人を訴追する義務を締約国に負わせ、テロリスト爆弾の捜査の対象となった者達に安全な避難所を提供させないことを目的としたものだ。「テロリズムの資金援助防止の条約」は、テロ活動資金の送金防止を目的としたものだ。スイスがこの条約を公式に批准するには、刑法の改正が必要だ。が、スイスの金融機関は、現行法は完璧に機能しており、刑法改正は必要ないとの考えを示している。刑法改正は、国連条約の条件を満たすための政治的な決定であり、たとえ改正されても金融機関の業務は何も変わらない。スイスの金融機関はテロを犯罪と見なしており、資金に犯罪疑惑があった場合、テロとの関連についてもチェックしている。

米同時テロ事件直後から、スイスは米国の「テロとの戦い」に協力してきた。テロ事件以降、スイスはテロ関連疑惑の国内の銀行預金5000万スイスフランを凍結した。アシュクロフト米司法長官は、放射性物質を飛散させる「汚い爆弾」によるテロを計画していたとされるアブドラ・アルムハジール容疑者(本名ホセ・パディージャ、31)逮捕におけるスイス警察の協力を讃え、またスイスが国際金融センターとしての責任ある役割を果たしている事を賞賛した。

一方、メツラー司法・警察相は、連邦政府がジュネーブの国際機関の安全保障強化を決定したことについても発表、国内安全保障管理を考察する作業部会が設置された。ウルス・フォン=デユニケン連邦警察長官は、「国内安全保障に関する法制備には、個人の権利と国家安全保障のバランスに関する討議が必要だ。新法案作成時には、個人の権利が限定されるべきか、されないべきかの範囲が確定されていなければならない。」と、個人の権利と国家セキュリティーのバランスの重要性についてswissinfoに語った。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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