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スイス籍の病院船、世界航海中

スイスに本拠地を置くNGO, Mercy Ships(本部ローザンヌ)の病院船が、途上国巡回の航海をしている。

スイスに本拠地を置くNGO, Mercy Ships(本部ローザンヌ)の病院船が、途上国巡回の航海をしている。

多国籍の医療専門家とボランティアで構成されるMercy Shipsは、病院船3隻を所有、途上国の港を巡回し、高度医療を受けられないでいる人々に外科手術を施すなど、救命活動に従事している。西アフリカを巡回しているアナスタシア、現在エルサルバドルにいるカリビアンマーシー、フィリピンで活動中のアイランドマーシーの3隻は、世界最大規模の「浮かぶ病院」だ。

Mercy Shipsの目標は、極貧の人々の救済にあたることだ。コーディネートにあたるローザンヌ本部で、ダビエス会長は「世界人口の80%は港湾から150キロ以内に住んでいる。我々は眼下手術、口蓋裂、腫瘍などの外科手術を自国の医療機関で受けられない極貧の人々に施すために、途上国を巡航している。」と語る。

Mercy Shipsはこれまで約65万人への医療処置と12万人への歯科処置にあたった。また、腫瘍摘出、角膜移植など6000件以上の手術、義足義腕装着などを行った。医療サービスは全て無料だが、チームの検診に通った幸運な人のみに限られる。

旗艦のアナスタシアは乗員400人、36人収容の病棟室と劇場3室がある。現在、22家族と約50人の子供が乗船しており、ガンビアのバンジュルに停泊中だ。乗員は、数週間から多年にわたるボランティアだ。銀行、郵便、理容・美容室、図書館、看護学校・高等学校などの教育機関は、船上に完備されている。

Mercy Shipsは、訪問地の設備改善のための建設プロジェクトも担当する。これまで、震災後のメキシコでの住宅建設や、西アフリカで産院の建設に参加した。また、ニカラグアとシエラレオネでは、地上の病院に医師、心理学者、セラピストなどの専門家を派遣、紛争で負傷し四肢を失った人々の肉体的・心理的援助にあたった。

Mercy Shipsの資金調達は、個人、企業からの寄付金だ。近く、船団にはフェリーから病院船に改造中のマーシーアフリカが4隻目として加わる。マーシーアフリカには、劇場4室、85床の病棟室を備え、乗員450人となる。

Mercy Shipsの医療慈善ミッションが、破産せず浮かび続けることを祈る。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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