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ドイツから押し寄せる移住の波 ( スイス放送協会「融和週間」-2-)

2007年末の外国人に関する統計によると、スイスの全人口750万人のうち外国人は157万人。 Keystone

スイスの北に位置する大国ドイツ。この国からスイスへ移住する人々が増えている。

このコンテンツは 2008/04/09 15:25

彼らは文化的によく似た背景を持ち、職業能力も高い。だが、スイス人との折り合いは今ひとつだ。

「力のある者は常に冷淡で横柄な物質主義者であり、弱い立場にいる者は自分が心優しいと思うのが常。ベルンでは、チューリヒの人々は氷山でベルンに住む自分たちは暖炉のようだと言っている」。日刊新聞「ターゲス・アンツァイガー ( Tages Anzeiger ) 」の紙上インタビューで、都市と地方、国と大陸の間によく見られる関係をこのように表現したのは、ドイツ語学者のペーター・フォン・マット氏だ。

給与と天気とアルプス

そして、
「この現象はスイス人がドイツ人に向けている視線の中にも見受けられる」
という診断を下す。
「だが、これは鼻風邪のような一般的なものでまったく害はない」

ドイツはどこよりも大切なスイスの経済パートナーであり、対ドイツ輸出量も圧倒的に多い。スイスはまたドイツ企業の誘致にも力を入れている。スイスの優れた経済力を豪華なパンフレットでアピールしてドイツ企業を次々と呼び込み、そのおかげでスイス労働市場は活性化した。

ドイツに住むスイス人はスイスの全人口の約1% ( 7万3000人 ) 。そして、スイスに住むドイツ人はドイツ人口全体の0.25% ( 20万人 ) だ。ドイツ人は現在、イタリア人に続く第2の外国人グループを形成している。

このような移住にはもっともな理由がある。高い給与、快適な気候、目の前に広がるアルプス、さらに標準言語も同じだ。ドイツ人の占める割合が特に多いのは、病院勤務医やエンジニア、大学教授、マネージャーなど。人の移動の自由化は、国内総生産に有益な影響をもたらした。

意見に固執、正確な表現

サッカーではドイツが優勢だ。1956年以来、スイスはドイツに勝ったことがない。この事実が普段からドイツ人に対する嫌悪感を増殖させ、大衆紙もドイツ人を揶揄 ( やゆ ) する大見出しを掲げる。「ドイツ化」もそんな見出しの1つだ。この言葉はスイスのフランス語圏で、数年前から言語の境界線が迫ってくる不安を表現していた。だが、実際に境界線が移動した幅はわずかなものであり、反面、「ドイツ化」が進んだ地方自治体の税収入は顕著に増加した。そして、ドイツ語圏スイス人は遅くとも2世代目でフランス語圏に融和する。

融和への前提条件は、スイスへ移住したドイツ人も満たしている。両者の間に大きな文化の違いはない上、学校で子どもが言葉の問題につまずくこともない。彼らは標準言語を使いこなすだけでなく、スイス人に勝るボキャブラリーを持ち、表現もより正確だ。

標準ドイツ語は外国語

ところが、スイス人とドイツ人の違いを明確にしているのがよりによってこの共通の言語。ドイツ人は自分の要求をはっきりと言い、スイス人は婉曲 ( えんきょく ) に希望を述べる。弁の立つドイツ人にスイス人は時折閉口してしまうのだ。

さらに、スイスでは標準ドイツ語は外国語と見なされており、スイス人はこの言語をあまり話したがらない。そしてまたドイツ人はといえば、スイス人がスイスの方言ではなく標準ドイツ語で話すと「自分は受け入れられていない」と寂しく思うのである。

スイスに移住した当初、問題を感じるドイツ人は少なくない。「ドイツ語圏スイスのドイツ人」という調査を行ったヴェルナー・コラー氏は、それどころか負担を感じる人も多いと言う。大きな違いがなくても、スイスではすぐに外国人扱いされるのだそうだ。

多くのスイス人は、スイスで使用されている方言を使ってほしいと望んでいる。しかしその一方で、ドイツ人は自分のアイデンティティを守り通すべきだという防御反応も見られる。
「スイスの方言はドイツという『兄』と一線を画するために使われていると思っている人は、スイスの方言を話さない方がよい。また、スイスドイツ語は方言であり、劣等な言語ではないことをきちんと認識すべき。ここでは、方言を話す人はあまり知的ではないという意識はまったくない。むしろ標準ドイツ語では感情がうまく伝わらない」
とコラー氏は説明する。

ブログを書いているドイツ人たちはスイスの生活水準や親切な人々、機能的な機関を称賛しているが、酷評する声もちらほら見える。
「イタリア人は私の存在を国の利益と見なしてくれた。自分が闖入者 ( ちんにゅうしゃ )だと感じたことは1度もなかった。しかし、ここでは違う」
と書くのは、10年前からスイスに住んでいるあるエンジニアだ。

このような現象は新しいものではない。連邦工科大学 ( ETH ) のフリーデリヒ・テオドール・フィシャー教授は、すでに1855年に以下のように書いている。
「ドイツ人である私は、スイス人と付き合っているとグラグラと不安定な地面に立っているような気がする。絶え間なくドイツ人に対する批判を聞かされるからだ」

swissinfo、アンドレアス・カイザー 小山千早 ( こやま ちはや ) 訳

補足情報

2007年末の外国人に関する統計によると、スイスの全人口750万人のうち外国人は157万人。

これは全人口の20.7%に当たる。

うち12.9%に当たる20万人以上がドイツ人。

ドイツはイタリア ( 18.43% ) に次いで2番目に多い外国人グループで、そのあとにはセルビアとポルトガルが続く ( 各11.6% ) 。

2007年にスイスへ移住したドイツ人はおよそ4万人、スイスを出たドイツ人はおよそ1万人。

2007年にスイスに帰化したドイツ人は1361人。2006年は1134人だった。

2007年8月以降ドイツでは2重国籍が可能となり、スイスへの帰化申請が大幅に増加した。

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