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ライフサイエンスのスイスを語る

スイスにはおよそ40のベンチャー・キャピタルがあるが、その中でバイオには約3億フランが投入されている

ロシュ、ノバルティスなど世界でも有名な医薬品会社が集中するスイスでは、ライフサイエンス産業が進んでいる。例えばバイオ分野では、非常に特化した医薬品をベンチャー企業が研究・開発するという特徴があり、こうしたベンチャー企業の活躍が注目される。

2005年時点で138社のバイオ企業が存在し、そこで1万4000人以上が働いている。総売上額はおよそ60億フラン ( 約5800億円 ) にのぼる。民間企業とベンチャー企業との連携も円滑で、ベンチャー・キャピタルも堅調に増加している。

 スイスがバイオ産業に強いのは、医薬品産業の長い歴史が背景にあると語る浅野信久氏。日本もスイスに学ばなければならないと語る浅野信久氏 ( 大和総研、新規産業調査部部長、46歳 ) に電話でインタビューした。

swissinfo : 先進国にとってバイオ産業は、その国の経済の発展のために不可欠な産業と見るべきですか。 

浅野 : 先進国の経済を担う主要産業として、IT、医療、福祉などがありますが、バイオ産業もその要のひとつとして挙げられます。バイオがその国の成長に不可欠というわけではありませんが、グローバル産業であり、どの国がバイオ産業を担っていくかということで、各国が躍起になっています。

swissinfo : スイスのバイオ産業は、世界でどのように見られているのでしょうか。 

浅野 : アメリカはむしろ、スイスやヨーロッパのノウハウに学んでいるという面があります。

アメリカのバイオ産業は歴史が浅いのです。一方、ヨーロッパには歴史のある医薬品メーカーが多く、産業振興の中で要の産業となっていきました。格好の例が抗菌剤です。抗菌剤はヨーロッパからアメリカに渡り、アメリカでもニーズが高まり、市場ができました。アメリカは市場経済の原理が徹底しているので、良い製品が高く売れる市場を持っています。高い製品が売れる市場を求め、スイスの大手医薬品メーカーもアメリカに進出ていきました。外国企業に対抗してアメリカでも、現在有名なファイザー社などが生まれました。このようにバイオ産業は、グローバルに発展するようになったのです。

swissinfo : スイスがバイオ産業で秀でているのはなぜですか?

浅野 : バイオベンチャービジネスは、たとえ独創的な科学技術やアイデア ( サイエンス ) があったとしても、必ずしもビジネスには結びつかないものなのです。科学者がビジネスをするとうまくいくと思いがちですが、ビジネスのルールを知っている人がビジネスをしなければ、決して成功しません。

特にバイオの場合、限られた病気に効く特殊な薬を開発するので、ターゲットが絞られてきています。しかも、技術が進歩していることからますます、巨額の投資が必要になってきました。多額の資金を得るため、グローバルなルートで投資を求めなければならないのです。

また、病気の質も世界中、似通ってきました。途上国でも生活習慣病が見られるようになっています。つまり、同じ薬が世界全体で必要になってきています。世界のあらゆる国に通用する薬でなければ、商品にならないのです。

こうしたことから、各国の条件にそれぞれ対応できるビジネスのノウハウを知っているビジネスマンが必要です。スイスにはビジネスマンや研究者は国際経験の豊かな人が多くいるので、成功しています。

swissinfo : サイエンス面での評価はどうでしょう。

浅野 : 「スイス」というブランドは魅力です。医薬品の開発は長期の時間を要します。有能な人材、資源、資金など、1国では賄い切れません。そこで生きてくるのが、スイスというブランドです。スイスの製薬会社で研究できる。また、製薬会社が集中するバーゼルで研究ができるとことは、大きな吸引力になります。

swissinfo : バイオ企業に限ったことではありませんが、最近スイスでは、経営陣の給料が高すぎるという批判の声が上がり、規制をしようという市民の動きも見られます。 

浅野 : そうなると、刺激をそぐことになるかもしれません。しかし、スイスの大手製薬会社には、年功序列的な制度を敷くところもあります。バイオはIT産業のように、華々しく花火を上げて終わるといった性格はありません。研究者が安定した生活の中で研究に専念できる環境は魅力的です。成功者だけが優遇されるという環境では、革新性が育まれません。

swissinfo : スイスは ES 細胞の研究を国民投票で承認したものの、5項目に渡る禁止事項を定めたり、倫理委員会の審議を通した上で認可が必要です。

浅野 : 人の倫理にかかわるところは安易には動かさないという傾向は、ヨーロッパ全体にあります。研究を阻害しない限り問題ないのではないでしょうか、アクセルとブレーキを交互に掛け、バランスを取ることは良いことです。

swissinfo : スイスと日本の経済連携協定の交渉が始まろうとしています。どのような期待が掛けられますか。

浅野 : 物、人の交流のほかに、医療面での交流が高まればと思います。臨床試験面で互いに協力し、商品開発を進めることができればとも思います。また、日本のバイオベンチャーの子会社がスイスにできるようになるといいですね。

swissinfo、聞き手 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

キーワード

<スイスのライフサイエンス産業の仕分け> ( ロケーションスイスの資料から )
診断、分析サービス 17%
試薬、化合物 16%
環境、アグロバイオ、食品 12%
治療関連 13%
その他のサービスおよびサプライヤー 10%
ゲノミクス、プロテオミクス 8%
医薬品、化学薬品 8%
バイオインフォマティクス、バイオエレクトロニクス 7%
委託研究・製造 6%
ドラックデリバリー 3%

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