国民皆兵のスイスでは、退役後も武器の自宅保管が認められている
Keystone
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国防省は8日、昨年、アサルトライフル(突撃銃)とピストルが合計107丁紛失したと明らかにした。
紛失した武器の数は、2016年の69丁から17年の85丁と毎年着実に増えているという。同省はまた、8日にブリック紙外部リンクが報道した内容を認めた。
紛失が報告されている軍用武器は、9年以降から合計して776丁にものぼる。そのほとんどは民兵の自宅や、兵役の移動中に盗まれたケースだ。残りは引っ越しや兵役中に紛失、火災の破損などが理由。紛失が報告されていた武器のうち、昨年合計36丁の武器が見つかった。そのうちアサルトライフル3丁は海外で発見された。
1969年から2015年の間に紛失の届け出があった5155丁の武器のうち、317丁は後日発見されたと軍当局は報告している。
国民皆兵制を採るスイスでは、成人男子は軍隊での訓練が義務付けられており、退役後も武器の自宅保管を認めるオプションがある。これはスイス軍が行ってきた長年の伝統で、緊急時の召集を可能にするための備えという名目だ。
軍用ライフルは盗難防止の場所に保管し、盗難は直ちに報告しなければならない。ところが紛失が報告されるのは通常、兵士が軍事演習中、または退役の際に銃を見つけられないケースのみだ。
こういった国民皆兵制が背景にあるスイスは、銃の所有率が世界で最も高い国の一つだ。国防省の推定では、人口840万人のうち、個人200万人以上が銃を所持している。
同省はまた、兵役終了後に銃を持ち帰る場合、約1万円の自己負担額外部リンクを支払うように規制が強化されたこともあり、自宅保管のオプションを選んだ兵士は減少したとした。2004年は4割強の兵士が銃を持ち帰ったのに対し、17年は約1割(2513丁)だった。
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
おすすめの記事
スイスでは現金のチップが主流
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。
もっと読む スイスでは現金のチップが主流
おすすめの記事
プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。
もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
おすすめの記事
スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国立銀行(中銀、SNB)は19日、政策金利を0.25%引き下げて0%にすると発表した。
もっと読む スイス国立銀行、政策金利ゼロに引き下げ
おすすめの記事
欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
このコンテンツが公開されたのは、
メディア報道によると、ドイツ、フランス、英国の外相は20日、スイス・ジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。
もっと読む 欧州外相、ジュネーブでイラン外相と核協議へ
おすすめの記事
スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス上院は17日、超富裕層の相続に相続税を課し環境保護の財源にする案を否決した。
もっと読む スイス議会、超富裕層への相続税案を否決 対案なく国民投票へ
おすすめの記事
見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。
もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道
おすすめの記事
ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
このコンテンツが公開されたのは、
英国と大陸欧州をつなぐ高速鉄道ユーロスターは、スイス・ジュネーブとロンドンを結ぶ初の直通列車の運行を計画している。
もっと読む ユーロスター、スイスと英国結ぶ直通列車運行へ
続きを読む
おすすめの記事
銃好きのスイス、規制の歴史
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの銃規制法と銃の所持率の高さは、この国が銃を所持する権利や国民軍の必要性を深く信じていることと関係している。何世紀も前には、一部の州で、男性は銃を持っていないと結婚が出来ないと定めた法律もあったほどだ。しかし、最近の国民投票や欧州連合(EU)との合意によって、誰がどんな銃を所持していいのか、そしてそのリスクについて議論されるようになってきている。
もっと読む 銃好きのスイス、規制の歴史
おすすめの記事
EU銃規制法の採用可否を国民投票へ NZZ紙報じる
このコンテンツが公開されたのは、
銃の所有権に関する欧州連合(EU)の法律を加盟国ではないスイスも採用すべきか、スイス有権者の民意が問われる見込みだ。スイスの日曜紙2紙は6日、立法の変更に反対するイニシアチブ(国民発議)が国民投票に十分な署名数を達成したと報じた。
もっと読む EU銃規制法の採用可否を国民投票へ NZZ紙報じる
おすすめの記事
スイス、EUの銃規制を踏襲した法改正案を可決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦議会は19日、テロと武器の違法取引防止を目的とする欧州連合(EU)の新規制に適応した銃規制法改正案を可決した。
もっと読む スイス、EUの銃規制を踏襲した法改正案を可決
おすすめの記事
国民投票 銃器規制イニシアチブ否決
このコンテンツが公開されたのは、
イニシアチブ承認には投票者と州の両方で過半数の賛成を得る必要があるが、投票者56.3%の反対と26 州中20州の反対で否決された。チューリヒ、ジュネーブ、バーゼル・シュタット、ヴォー州など大都市を含む6州が賛成し、反対…
もっと読む 国民投票 銃器規制イニシアチブ否決
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。