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国民投票で問われるスイスの外国人政策

難民受け入れの第1段階。難民にとってのスイスの玄関口となるバーゼルの受け入れセンターには各国からの難民が集まってくる. Dominic Buettner/pixsil.com

9月24日の国民投票では、欧州連合 ( EU ) と欧州自由貿易連合 ( EFTA ) 加盟諸国以外の国の外国人に対する労働許可の引き締めを目的とする改定案と、難民受け入れの引き締めを目的とする改定案あわせて2つの是非が問われる。

このコンテンツは 2006/09/16 15:25

入閣前から外国人政策に力を入れてきたクリストフ・ブロッハー法務相は、投票日の3カ月前から、政府によるこの2つの改定案に対する国民の同意を得ようと全国を行脚している。

スイスの人口の2割以上が外国人で占められている。隣国からの労働者もいれば、配偶者がスイス人という人もいる。また、スイスが難民も多く受け入れているのは、常に人権を擁護してきた歴史があるからだ。しかし、政府はこれまでのような受け入れ方は改善する必要があるという意見で、2つの法の改正を提案した。これに対してレフェレンダムが起こり、今回の国民投票でその是非が問われることになった。

EUとEFTAを優遇する

今回の国民投票で問われる項目の1つは1931年に発効した外国人法の改定案である。EUとEFTA加盟国以外の国の外国人が対象だ。専門技術を持つ労働者で、スイス人やEU、EFTA出身者にはそうした専門家がいないという場合以外は就労を認めないとする。さらに、違法の外国人労働者の仲介行為に対する刑罰をこれまで以上に厳しくする。滞在のみを目的として結婚を申請するような場合、当局は却下できるなど新しい措置が加わる。

もう1つは難民の受け入れについてで、難民として受け入れを申請する際、国籍を証明する旅券を提示できない人や出身国を偽った人は、簡単な手続きを経るだけで申請が却下され、強制的に出国させられるというものだ。また、現在申請が却下された人にも払い続けられている社会保証は、今後はストップされ、緊急の場合のみお金がもらえるというもの。

人権擁護国として

外国人法の改定について政府は、EUとEFTA諸国との人の行き来が段階的に自由化され、特別専門的な技術を持たない人も、スイス人と隔たりなく働けるようになるため、その分、高度な専門技術や知識を持った労働者を他国から多くスイスに受け入れることが目的だという。また、外国人のスイス社会への融合の促進、労働許可の悪用を防ぐことも目的だという。

難民法が改定されても、人権擁護の歴史を持つスイスの政策は変わらないというのが政府の意見だ。申請が却下され出国が強制される外国人に対し、これまでより厳しい対応で強制力を持つようにし、「真の難民」を受け入れる体制を確保すると主張している。また、これは連邦憲法や国連難民憲章にも従っているという。

8月19日にバーゼルで開催された在外スイス人会議で、ブロッハー司法相は「 ( 入国を希望する ) 人を追い返すのは気持ちの良いことではない。それが結局、全体のためになると思えばこそできることだ」と演説した。ブロッハー大臣によれば、旅券を持たず身分を証明できない人は、非合法な組織の介入があるという。「仲介を通してスイスに入国しようとした人が、数週間後に本国に舞い戻ってくれば、こうした組織犯罪の根幹を壊すことにもなる」とも語った。

非人間的、不必要、高くつく難民法

一方、この政府の改定案は「横暴で排他的である」と反対しているのは、社会民主党、緑の党、労働組合などレフェレンダムを起こした市民グループ。グループのリーダーで元連邦内務相のルート・ドライフス氏は「外国人法と難民法の改定案は、外国人を排斥するものだ。外国人に対しする不信感を象徴するような案は認められない」と言う。外国人法について労働組合のレンツォ・アンブロセッティ委員長は、EUと二国間条約を結び、人の行き来が自由になり、社会環境が向上したが、改定案はこれを逆戻りさせるものだ」と語った。

また、法務省難民局の前局長ウルス・ハドルン氏は難民法の改定案について、「わたしは反対票を入れる。改定案は効果があまりなく、成果も上がらず、常識を逸脱している」と9月3日付けの日曜新聞ゾンターク・ツァイトゥングのインタビューで発言した。

反対グループは、そもそも政治的な虐待を受けている人が、自国から旅券などを発行してもらえるはずはなく、真に保護が必要な人こそが入国を拒否されると訴えている。

swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

補足情報

<レフェレンダム>
連邦議会の決定に対する市民の事後審判として実施する国民投票のこと。「強制」( 憲法改正など ) と「随意」の2種類があり、前者は自動的に、 後者は有権者5万人の署名を集めることで国民投票が実施される。
外国人法改定案に反対する署名は7万4246人分、難民法改定案に反対する署名は12万1794人分集まった。
8月下旬に行われた全国世論調査によると、外国人法改定案に賛成する人は59%、難民法改定案に賛成する人は54%と反対する人を大きく上回っている。

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9月24日の国民投票
1) イニシアチブ 国立銀行の利益を老齢年金へ
2) レフェレンダム 外国人法の改定
3) レフェレンダム 難民法の改定

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