日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングによると、スイスのスーパー大手ミグロやコープは毎年数十件の休日労働を申請している
© KEYSTONE / GAETAN BALLY
ドイツ語圏の日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥング外部リンクは23日、土日・祝日に従業員を働かせるために企業が取得した許可件数が過去3年で約3割増えたと報じた。
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スイスでは、従業員を週末や休日に働かせたい企業は連邦経済省経済管轄局(SECO)外部リンクの許可を得なければならない。許可された件数はこの3年で3割増え、2000件を越えた。申請のうち800件以上が、クリスマス期間の営業が目的だったという。
2018年通年では約7万人の従業員が土日・祝日に出勤した。統計に含まれるのは常時雇用者のみで、短期の臨時雇用は含まない。
SECOは同紙に対し「近年、休日労働の申請は着実に増えている」とコメント。増加の背景には消費活動が休暇期間中も活発になっていることや、企業の経済・物流上の必要性などがある。
スイスのスーパー大手ミグロの広報担当者は、「日曜・祝日に生鮮食品を買いたい消費者が増えているため、製造・物流企業の両方が週末も営業しなければならない」と話した。
州ごとに祝日が異なるため、複数の州にオフィスや支店を持つ国際企業などから、祝日でない州に合わせてスイス全体で祝日労働の許可が申請されることもある。
だがスイスでは週末や祝日は家族のために時間を当てる伝統があり、こうした時間を労働に振り向けることに懐疑的な声もある。スイスの労働組合ウニアのアルノー・ブーヴラ氏は同紙に「看護や公共交通機関などの不可欠なサービスは別として、休日労働はなくすべきだ」と語った。
ブーブラ氏は「多くの分野では休日労働の必要はない。厳格なチェックが入るわけではないので休日労働をしている企業も多い」と批判した。
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