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山が去り、山々が訪れる秋

「アルプスの風展」では、スイスを代表するホドラーやセガンティーニの作品も展示される. Pro Helvetia

愛知万博は23日に閉幕し、スイス館のはりぼての山も取り壊される。一方、プロ・ヘルヴェティア文化財団(Pro Helvetia)によるスイスの文化を紹介する活動はますます盛況を帯び、来年まで続く予定だ。

音楽や造形美術で活躍するスイス人アーチストが10月から、続々訪日する。日本全国のコンサートホールや美術館で作品が紹介される。

 「山が去り、山々が日本を訪問する」プロ・ヘルヴェティア文化財団のピウス・クヌーゼル理事長が、スイス現代アートの日本での紹介活動の一環をこう表現した。愛知万博のスイス館の山は取り壊されるが、アルプスの山を紹介する展覧会などが日本でも催されるという意味だ。愛知万博が始まる前からプロ・ヘルヴェティア文化財団は日本で、スイスの現代アートや音楽を紹介してきた。そしていま、再び日本各地でスイスの文化が積極的に紹介される。

山を知りたい人の必見

 造形美術ではスイス館のテーマであった山を中心にした展覧会が開かれる。特に注目されるのは「スイス・スピリッツ−山に魅せられた画家たち展」(独・英題Höhenluft/Alpin Air)。アールガウ州美術館の館長ベアット・ヴィスマー氏が企画した。「当館には多くのアルプスの絵があり、いつかはやってみたかった」という。18世紀から20世紀までのアルプス芸術史をカバーするものになるという。

 スイスを代表するホドラー(Hodler)やセガンティーニ(Segantini)のほか、山が観光の対象となった19世紀後半のアルプスを描いたラファエル・リッツ(Raphael Ritz)(1829-1894)や、ニコラ・フォー(Nicola Faure)の写真。フォーはアルプスに「侵入してきた」スポーツマンやスポーツウーマンを被写体としている。
 
 展示は10月29日から12月23日まで松本市美術館で、その後、島根県立美術館、東京文化村ザ・ミュージアムでの展示と続く。

アーチストの交流

 また、スイスの現代音楽家アルトゥール・ホーネッカー(Arthur Honneger)の没50年を記念したコンサートが長野市で9月23日から開催。ニック・ベルチ(Nik Bärtsch)と彼のバンドによるコンサート「ペルペチュアル・リズム」(Perpetual Rhythm)が横浜や東京で開催されるなど、音楽の紹介も目白押し。

 ベルチ氏は「財団の援助で日本で自分の作品を紹介するアーチストは、今回に限らず長期的に日本と付き合って行きたいと思う人が多い」という。来年まで続くスイス文化の紹介活動がきっかけとなり両文化が、長く交流し続けることを望む。

swissinfo、 佐藤夕美(さとうゆうみ)

<ペルペチュアル・リズム(Perpetual Rhythm)>
10月9日、10日 横浜
12日、13日東京
14日名古屋など

<スイス・スピリッツ−山に魅せられた画家たち>
10月29日から12月23日 松本市美術館
1月2日から2月24日 島根県美術館
3月4日から4月9日までBunkamura ザ・ミュージアム

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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