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教育制度の統一へ  国民投票で可決

今後はスイス26州での教育制度の調和が行われる

(Keystone)

5月26日に行われた、異なる26州の教育制度の統一を図る憲法改正を問う国民投票が86%の賛成で承認された。国民投票でこのような圧倒多数の投票結果はめずらしいものの、投票率は27%という過去最低に近いものとなった。

投票の翌日、多くのスイスメディアでは直接民主制の基本である「聖なる」連邦制の厳守よりも、時代にあった近代教育制度の実現という「現実的な投票結果になった」といった見方が主要だった。

 連邦制のスイスでは教育制度も各州政府の管轄下にあるため、狭い国土で26州が26通りの教育制度を実地していた。このため、小学校に入学する年齢から義務教育の年数、教育の段階の基準やレベルが州によってまちまちだったため、転勤する家族にとって子供の転校時の編入に多くの問題が生じていた。

満足する政府

 政府側はもちろん、この投票結果に満足でパスカル・クシュパン内相は(過去に同様の投票が否決されたため)「何年間にも及んだ統一への動きの後にくる、このイエスは大変重要な意味がある」と語り、ジョゼフ・ダイス経済相も「今後の職業教育の発展に繋がるだろう」と満足した。

 賛成派の議員、マルティーネ・グラフ氏は「教育や大学に関する憲法改正が通るのは珍しく、これはもっと協力的な連邦制を敷く機が熟したという印だ」と分析した。

連邦制の機弱化?

 スイスメディアでは教育制度の近代化が必要だったとするコメントが多く、バーゼルの日刊紙、バズラー・ツァイトゥングは「我々は19世紀に根をさかのぼる教育制度を21世紀に保持し続けることは困難と理解した」と記し、ターゲス・アンツァイガー紙は「人々は教育における頑なな地方主義に飽き飽きしている」とした。

 また、多くの紙面で投票率が過去最低に悪かったにも関らず、「連邦制への打撃」という意味で重要な投票だったと分析。フランス語圏の大衆紙、ル・マタンは「昨日の投票結果は大きな曲がり角を印した。スイス国民は国粋主義者が保護する偏屈で時代遅れの連邦制に嫌気が差している」とコメント。ヴォー州のヴァント・キャトル・ウール紙は「ここ数年、スイスの政治機構に中央集権の風が吹いていることは間違いない」と見た。

今後の課題

 ただ、各州が調和を図ることは決まったものの「どのような具体的な調和か」といった点では「難しいのはこれから」といった見方がほとんどだ。

 チューリヒの日刊紙、ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングは「連邦政府よりも各州政府により大きな仕事が待っている。教育制度調和への効果的な実践を示してほしい」と懐疑的だ。ベルンのデル・ブント紙も「各州の間の教育制度を統合する委員会は具体的な改革を打ち出せることを見せるときだ」と記した。


swissinfo、 屋山明乃(ややまあけの)

補足情報

- スイスは1848年から連邦制をとっている。

- 連邦政府は一般に外交や国防などを司り、各州政府は税制、健康衛生や教育に関して大幅な自治権がある。

- これまでも、1973年に教育制度の統一を問う国民投票が行われたが、否決されていた。

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