スイスの学校は5月11日に再開する
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スイスでは5月11日に学校が再開する。1日までに複数の州が詳しい再開方針を発表したが、ある州は全面再開、別の州はより慎重、と温度差がある。
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スイス連邦内閣は29日、義務教育(16歳まで)の小中学校(一部地域は幼稚園)の再開を発表した。高等学校、職業訓練校などは、少人数の授業なら可能だ。連邦制のスイスでは教育は州の管轄で、最終決定権は州にある。
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アッペンツェル・アウサーローデン準州、ニトヴァルデン準州などは、5月11日から「ほぼ通常の」カリキュラムに戻る。高リスクグループに属する子供は例外だ。フリブール州は段階的なアプローチを採用。5月20日まではクラスを2つに分けて隔日授業にする。
防護措置
すべての州は、生徒と教師の健康を守るため、連邦保健庁が29日に出した国の防護対策に従うと強調した。
国の防護対策には手を洗う、部屋をまめに掃除する、空気の入れ替えを頻繁に行う、教師と生徒の間には2メートルの距離を空けることなどが含まれる。10歳未満の生徒にはソーシャルディスタンシング(社会的距離)は適用しない(非現実的なため)。マスクの着用義務はない。
26の州のほとんどが、再開の具体的な方針を公表した。ツーク州は5日に保護者に通達する。再開予定日のわずか6日前だ。
州によって異なるアプローチ
はっきりしているのは、各州のアプローチが非常に多様であるということ。チューリヒ州、ザンクト・ガレン州などドイツ語圏の大きな州は、1カ月間、クラスを2つに分ける。他のほとんどのドイツ語圏の州は、通常通りのカリキュラムに戻る(ベルン州は、衛生対策・距離ルールを徹底するため、半数での授業を最初の2日間行う)。
新型コロナウイルスの影響を最も受けた州の1つ、ティチーノ州でも、厳格な防護対策を取り、5月11日に学校を全面再開する。ただし、学校が開始日を1週間遅らせることもできるようにした。
文化圏での違いは?
スイスのフランス語圏では、少し異なる。ヴォー州の教育部門の責任者セスラ・アマレル氏はフランス語圏のスイス公共放送(RTS)に「ジュネーブやヴォー州は新型コロナウイルスの影響を非常に強く受けている。学校の再開をより段階的に進めるよう求める要請が出ている。健康を鑑み、我々は他州よりも慎重に行く」と語った。
ヴォー州では、5月25日までクラス半数ずつの隔日授業にする。働く親のために学童保育も整備する。ジュネーブ州は「パートタイム」のアプローチを取る。小学校では5月25日まで、午前か午後でクラスを分けて授業を行う。
教師の反応
スイスの校長連盟は、フランス語圏のスイス教員連盟(SER)と同様、再開に向けた共通の解決策がないことを批判している。今後数週間の教育は保健庁の措置が大きく影響することが予想され、学校はそうした措置がすべて効果的に適用される場合にのみ再開できると訴えた。
一方、ドイツ語圏のスイス教員連盟(LCH)のダグマー・レスラー代表はドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガー紙に対し、対面式の授業再開は歓迎するものの、国が統一の防護対策を見送ったのは残念だと語った。「学校を再開する際、防護対策が州、村、町、学校ごとにばらばらであることを親は疑問に思う」と語った。
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