スイスの視点を10言語で

エイズ予防キャンペーンに司教協議会が目くじら

スイスカトリック教会の苦情によりこのスローガンは撤回された. stopsida.ch

昨年比で25%もエイズ感染が拡大したのを受けて、スイス連邦公衆衛生局は大々的にエイズ予防キャンペーンを開始した。ところが、スイス司教協議会はキャンペーンのあるスローガンが「バチカンを馬鹿にしている」と怒ったためこのポスターは撤回された。

キャンペーン用のスローガンは4ヶ国語(独、仏、伊、英語)で100以上もあり、全部で3000枚の黄色に黒字で書かれたポスターがスイス中に張られる。それぞれの人口層に合わせて作られたものだが、問題のポスターはそのうちの1つだけ。

問題のスローガン

 このポスターは独語では「神様、ローマが避妊について触れたがらないのなら、コンドームについて話し合おう」と書いてあり、仏語版では駄洒落も交え、「ローマはコンドームを‘中指に入れた’(=禁止した)が、他の場所にはめましょう」などと、更に挑発的だ。

スイスカトリックの言い分

 このスローガンを見たスイス司教協議会は宗教を嘲弄するようなやり方だと憤慨した。スイス政府は「直接、ローマ、つまりバチカンを名指しにしたことは確かに適切ではなかった」と認め撤回することにしたが、他の宗教がらみのスローガンはそのまま使用する予定だ。

笑えるスローガンの狙い

 「もし、人々が天気について話すのと同じぐらいエイズとコンドームについて話すようになったら、将来はもっと晴れるだろう」とか「ホテルのマネージャーへの質問;聖書以外のものを部屋に置き始める時が来たのでは ?」、「忠実でいよう!せめてコンドームには」、「お包みしましょうか ? ええ、喜んで」などとユーモアに富んだものが多い。また、スイスらしいものとしては、“コンドーム”の言い方を英語で独、仏、伊で観光客に教えるポスターが空港などに貼られる予定。きわどく、挑発的なものも多いが、キャンペーンが人々の話題に上るのが狙いだという。

スイスのエイズ感染

 スイスは1990年代初頭に欧州で一番エイズ感染が多かったこともあり、これまでに何度もエイズ予防キャンペーンが行われた。2002年度比で25%も感染者が増加した(792ケース、161人増えた)理由については公衆衛生当局は「二つのグループ、アフリカ移民とゲイ(同性愛者)コミュニティーに増加傾向が見える」と説明、このグループを対象にした英語のポスターも作られた。

人気の記事

世界の読者と意見交換

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部