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独・脱税事件とスイス銀行守秘義務の危機

リヒテンシュタインの金融業界が、脱税ほう助で大きく注目されている Ex-press

2月14日、「ドイツ郵便 ( Deutsche Post ) 」クラウス・ツムヴィンケル総裁の脱税が発覚し、辞任に追いやられた。脱税額がドイツ史上最高だったことから、大きなスキャンダルとなった。

このコンテンツは 2008/02/20 15:26

ドイツ警察は有名人の納税を現在、集中的に調査中だ。リヒテンシュタインは脱税のオアシスと非難を受けている。スイスとの関連は指摘されていないが、果たしてスイスは今後も潔白だろうか。

「この件に関してわれわれは何もコメントできない。ドイツとリヒテンシュタインの金融界の問題だ。われわれの知る限り、スイスは今回のドイツの脱税事件にはかかわっていない」
というのが連邦財務省 ( EFF/DFF ) の公式な見解だ。スイス銀行協会も、現在のところスイスとは関係ないという。

疑惑に止まる

スイスの経済連合「エコノミースイス ( economiesuisee ) 」のクリストフ・シャルテッカー氏は
「実質的にドイツでの事件と欧州連合 ( EU ) がスイスに対して非難する税制問題とは関係ない」
と語った。確かに、EUはホールディング会社を優遇するスイスの税制を非難しているが、今回の事件は個人が起こしたものだ。
「とは言え、今回の事件が、スイスとEUの関係に感情的な影響をもたらす可能性が無いとはいえないだろう」
シャルテッカー氏はさらに、EUとの利子返還協定により昨年ドイツに1億フラン ( 約98億円 ) 支払ったことを指摘し、スイスの真摯 ( しんし ) な対応を強調した。

現在のところ、今回ドイツで発生した脱税事件について、リヒテンシュタインの基金を通しスイスに預金しているといった公的な発表はない。しかし、スイスにも脱税資金が流れ込んできている可能性は高いと関係者は見ている。ハンブルクの犯罪学教授でスイス金融界におけるリスクとブラックマネーについての著書があるエリッヒ・サムソン氏は、何億フランという「黒い資金」がスイスの銀行にはあると主張する。ドイツの通信社BNBもスイスにまで、今回の警察の捜査が及ぶ可能性を指摘している。

しかしスイスの連邦検察は、経済新聞「キャッシュ・デーリー ( Cash Daily ) 」のドイツ警察の捜査に関しての質問にノーコメントと答えている。

スイスの税制に問題

リヒテンシュタイン銀行協会の会長でスイス人のミヒャエル・ラウバー氏は、スイスとリヒテンシュタインの深い関係を挙げ
「リヒテンシュタインの基金に入った資金は、スイスや他国の口座に移動される可能性はある」
と明かす。リヒテンシュタインとスイスでは、脱税、つまり所得を正確に申告しなかった場合には罰則がなく、税関連では法的処分がEUと違って非常に軽い。スイスでも書類の改ざんによる納税詐欺については犯罪であり、外国の警察と協力して捜査が行われるが、脱税に関しては協力体制が無い。

こうしたスイス税制については常に、国際的な非難の的となってきた。スイスの制度を擁護する人は、スイスの伝統を理由に挙げる。銀行の守秘義務についても、納税詐欺についてはその限りではないとも主張する。一方、社会民主党 ( SP/PS ) の国民議会議員スザン・ロイテンエッガー・オーバーホルツァー氏は
「納税先に限って外国の警察と協力し合うというのでは、外国から理解を得られないということをわれわれは知るべきだ」
と反論する。

国際的な圧力

国際的にもスイスへの圧力は強まっている。賄賂防止に努める国際機関「トランスパレンシー・インターナショナル ( Transparency International/TP )」 は、リヒテンシュタインは脱税をほう助していると非難し、これを是正するよう要求した。
「リヒテンシュタインとスイスは、脱税も違法行為とみなすべきだ。両国は銀行の守秘義務を廃止すべきである」
とドイツのTP、カスパー・フォン・ハウエンシルト氏は主張している。

経済協力開発機構 ( OECD ) も、リヒテンシュタインはアンドラ、モナコに次いで「最後の税天国」であり、リヒテンシュタインとその関係者により是正されなければならない点だと指摘している。OECDのアンヘル・ゲリア書記長は言う。
「スイスが税に関する情報交換を受け付けず、国際基準に従わない限り、また、外国人を脱税への魅力に誘導する限り、問題は解決しない」

度を越した銀行の守秘義務は過去の遺物であり、民主主義社会では必要の無いものである。

swissinfo、アンドレアス・カイザー 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳

ドイツポスト総裁の脱税事件

2月14日、ドイツ郵便 ( Deutsche Post ) 総裁、クラウス・ツムヴィンケル容疑者が逮捕された。最低1億ユーロ ( 約158億円 ) の脱税が疑われている。ツムヴィンケル容疑者は保釈金を払って釈放され、その後、引退を表明した。ドイツの通信社によると、ドイツ当局はリヒテンシュタインから情報を得るため、500万ユーロ ( 約7億9000万円 ) 支払ったという。

2月18日からドイツでは、税法違反の集中捜査が行われている。ドイツの報道によると、1000人の規模で捜査が始まっているという。ドイツのUBS銀行支店も捜査の対象となった。リヒテンシュタインは、ドイツのやり方に反発し、政治的実権を握るアロイス皇太子はドイツ政府に対する訴訟をちらつかせている。一方ドイツのアンゲラ・メルケル首相は2月20日、リヒテンシュタインのオットマル・ハスラー首相と会い、これを公式な問題として取り挙げる予定だ。

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