濡れ衣を着せられた空の王者
かつてイヌワシは、子どもや羊を殺す恐ろしい鳥だと誤解されていた。毒の使用や、計画的に巣を荒らした結果、スイスのイヌワシは絶滅の危機に立たされた。(SRF/swissinfo.ch)

スイスでのジャーナリストとしての経験が豊富で、さまざまなテーマのビデオ、記事、ポッドキャストを制作。最近は主に政治と環境に焦点を当てている。 英国生まれのビデオジャーナリスト。ノッティンガム大学で法律を学び、ロンドンで初の大学院ラジオ・ジャーナリズム・カレッジに進学。1984年から1995年までイギリスとスイスでラジオ・ジャーナリストとして働き、ボーンマス・フィルム・スクールで映画の大学院ディプロマを取得。

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これを受け、1953年にスイス政府はイヌワシの保護に乗り出した。この複雑な過去を背負った珍しい鳥に人々が注目するよう、スイスの自然保護団体プロ・ナチュラ外部リンクは2001年、イヌワシをアニマル・オブ・ザ・イヤーに選んだ。当時300組しか確認されていなかったイヌワシは、現在では約350組にまで回復した。
「過去にスイスで汚名を着せられ迫害された動物の中で、イヌワシは唯一生き残った大型猛禽類だ。ヒゲワシやオオヤマネコ、狼、ヒグマなどは人間によって根絶されてしまった」とスイスの鳥類観察所外部リンクはその他の動物の宿命を語る。
イヌワシの生息数は回復したが、イヌワシの「子育て事情」にはまだ改善の余地がありそうだ。
「つがいを組んでいない単独のイヌワシが多いために、ペアのイヌワシが頻繁に縄張り争いに巻き込まれている。そのため巣を離れることが多くなり、雛がかえる確率を下げてしまう」と鳥類観察所は指摘する。
イヌワシが狩りをして生息するには、百平方キロメートルの面積が必要とされる。主にマーモット、小鹿、子ギツネ、野ウサギを捕食し、十分に野生動物を捕獲できないときはネコを食べることもある。狩人が処分した内蔵も食べるが、弾丸に含まれる鉛の毒性が残っていることが多い。現在も進められている研究結果から、鉛を含まない弾薬を使用するようスイス鳥類研究所は呼びかけている。
寿命:スイスでは約28年、欧州では約32年
体重:3~7キロ
翼長:190~225センチ
食物:哺乳動物、鳥、獣の死骸
生息地:高山地区、岩の隙間や木の上に巣を作る
種の保全状況:軽度懸念
スイスでの生息数:約350組
(英語からの翻訳・シュミット一恵)
(Übertragung aus dem Englischen: Sibilla Bondolfi)
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