EPFLのエンジニアたちが開発した宇宙ごみ清掃用の衛星
Keystone
スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)のエンジニアたちによる新しい技術が、宇宙へ飛び立つことになった。スタートアップ「ClearSpace外部リンク」のミッションは、宇宙のごみ掃除だ。
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ClearSpaceのルック・ピジェ最高経営責任者(CEO)は、5日にEPFLが出した声明の中で「低地球軌道の宇宙ごみを取り除かなければいけない。衛星技術は私たちの生活の中でますます重要になっているが、それが今危機に瀕している」とした。
EPFLの宇宙センターCleanSpaceのエンジニアは、60年以上の低地球軌道活動で蓄積した宇宙ごみをキャッチし、取り除く技術を開発。最終的にはこの技術を発展させ、販売していく考えだ。
最初のテストミッションは2024年を予定。スタートアップはEPFLと他のスイスの大学が2009年9月23日に打ち上げたナノ衛星SwissCubeを解体したいという。
ClearSpaceの衛星は、先の細いテーパー型ネットを放出して宇宙ごみをとらえ、中に閉じ込める仕組みだ。
ごみ掃除
このスタートアップの長期的なゴールは、複数の衛星を搭載したプラットフォームを打ち上げ、地球を周回する3千個以上の使用済み衛星を除去することだという。
1957年に世界初の衛星が打ち上げられて以来、大小さまざまのごみが宇宙を漂い、その量は年々増えている。移動スピードは秒速約8 kmと非常に速く、宇宙船と乗組員への危険も増大している。
特に問題視されているのが低地球軌道だ。地球の大気圏末端から高度2千キロメートルまでの領域を指す。
ClearSpaceはEPFLと提携し、主に技術移転の問題に取り組む。欧州宇宙機関(ESA)も同社に財政支援している。
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電動飛行機「ソーラー・インパルス2」で世界一周飛行を達成して9カ月。ボルシュベルク氏は今、新しいミッションに挑戦している。
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