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スイスは南アフリカより男女格差が大きい

内閣に女性閣僚が2人いるものの、スイスはまだ女性の政策決定への参加がおくれている Keystone

世界経済フォーラム ( WEF ) が行った世界各国の男女格差に関する調査によると、スイスの順位は南アフリカやスリランカよりも下だった。

今回、調査対象となった国は115カ国で、スイスは第25位。報告書でスイスは、「女性が政治経済に参加する機会が少ない」と指摘されている。

 スイスより上位にきている途上国は、スリランカ ( 13位 )、南アフリカ ( 18位 )、ジャマイカ ( 24位 ) など。スイスが、人権や生活の質、手軽に医者や病院に行けることや、教育などについて、これらの国に劣っているわけではない。問題は、政治や経済への女性の参加率らしい。

対象は50億人以上

 この調査報告書を執筆した1人、サーディア・ザヒディ氏は、スイスインフォの取材に対し、「スイスでは、まだ男性のほうが女性よりずっと有利なようですね。相対的に見ると、スイスの男女格差は南アフリカよりも大きいという結果になりました」と答えた。

 この調査は、アメリカのハーバード大学とイギリスのロンドン・スクール・オブ・ビジネスと共同で、国連の評価基準をベースに実施された。対象となった人数は50億人以上。これだけ大掛かりな調査は初めてだ。

 各国の男女の格差がどれだけあるかは、�@経済への参加と給与や昇進の機会、�A初等教育から高等教育を受ける割合、�B政策決定への影響力、�C健康と保健、の4つの分野にわたって調査された。

 点数は0 ( 不平等 ) から1 ( 全くの平等 ) で、1位のスウェーデンは0.81だった。1位でも「全くの平等」とまではいかないらしい。しかし、世界経済フォーラムはスウェーデンについて「世界の国々のモデルとなる」とコメントした。

やはり上位は欧州が占める

 トップ10は、ほとんどを欧州が占めるが、ニュージーランドやフィリピンも健闘した。スイス ( 25位 ) は、隣国ドイツの5位と比べるとかなり見劣りするが、同じく隣国のフランス ( 70位 ) やイタリア ( 77位 ) と比べるとまだましなようだ。

 フランスとイタリアの2カ国は、政治や経済への女性の参加が少なく、順位を大幅に下げた。EUへの加盟を申請しているトルコの男女格差の順位は、105位と他の欧州諸国から大きく遅れを取っている。

 「健康と教育については、世界の9割以上の国で男女格差がほとんどないのですが、政治経済となると50%の国で男女格差が開きます」とザヒディ氏は語る。政策決定について言えば、75%の国で男女格差が大きいのだそうだ。

 スイスも例外ではない。経済では女性もだいぶ活躍しているのだが、給与差となるとまだ開きがある。議員の数など政策決定への参加については、とうてい充分とは言いがたい。

統計の取り方に問題も

 しかし、スイス特有の事情もある。スイスは、先進国の中では珍しく、高等教育に進む女性が少ない国だ。これには統計の取り方に問題があるという。

 「国連の統計は、スイスの技術学校のいくつかは、大学と同じレベルだということを認めていません」とザヒディ氏は話した。「スイス政府は、これについて抗議しています」。この統計の取り方が変われば、スイスの順位ももっと上がるかもしれない。

 北米では、アメリカが22位で、カナダは14位。アメリカでもスイスと同じく、経済では女性が健闘しているものの、政策決定の場での女性の立場がまだ弱いようだ。

 南米では、健康と保健では最も男女格差が小さく、教育の機会についてもかなり平等が達成されている。しかし、個別でみるとまだまだ男女は平等ではない。例えば、アルゼンチンでは女性の平均給与は、同じ仕事につく男性のたった3分の1でしかしない。

 調査によると、中近東諸国は女性に対して健康分野と教育の機会を与えることに、この十数年でかなり投資を行った。しかし、経済分野については、女性の参加はまだ非常に少ない。

 調査報告は各国の男女格差と女性の経済への参加は大きな相関関係があると結論づけている。

swissinfo、ラファエラ・ロッセロ 遊佐弘美 ( ゆさ ひろみ ) 意訳

世界男女格差指標2006年版は、初めて115カ国、50億人の人々を対象に調査を行った。これは世界の総人口の9割にのぼる。

上位は、�@スウェーデン、�Aノルウェー、�Bフィンランド、�Cアイスランド、�Dドイツ、�Eフィリピン、�Fニュージーランド、�Gデンマーク、�Hイギリス、�Iアイルランド。

スイスは第25位。ジャマイカには遅れを取るが、隣国オーストリアやフランス、イタリアよりは上位だった。

スリランカ ( 13位 ) やタンザニア ( 23位 ) のように上位に入ってくる途上国もある。

115カ国中、最低レベルなのはサウジアラビアとイエメン。

スイスでは、男女平等法が施行されて10年経ったが、女性の平均給与は男性より2割安い。

男女格差は公的機関より民間で大きい。公的機関の平均給与格差は10%、小規模企業は同15.7%、中規模企業は同20.4%、大企業は同30.8%。

多くの女性が「スイスの社会には依然としてガラスの天井のように、昇進には目に見えない限界がある。このため女性で経営陣に加わるのは大変難しい」と述べている。

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