The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録

「元UBS行員の情報公開は国益に反する」スイス行政裁が申し立て却下

ラウル・ヴァイル氏
自身の経験を本にまとめたラウル・ヴァイル氏 Keystone

スイス連邦行政裁判所は14日、2014年に米国で脱税ほう助の罪に問われ、無罪になった元UBS行員の情報公開を認めることは国益に反するとして、公開を求めたスイス公共放送(SRF)記者の申し立てを却下した。

 記者は取材活動の一環でスイス連邦財務省に対し、同省が保管する元行員の文書の閲覧を認めるよう求めたが、同省はこれを却下。同省は情報公開を認めればスイスの外交政策、特に米国との関係が損なわれるおそれがあるとした。またスイス国内の銀行が米国人顧客への脱税ほう助問題などをめぐり裁判が進行中であることにも触れた。

 連邦行政裁判所も財務省の決定を支持。スイスと米国の国際関係は、この場合においては公益に対する透明性より重要だとした。

 元UBS行員は2009年まで同行のグローバル・ウェルスマネジメント部門の責任者だったラウル・ヴァイル氏。米国人顧客の資産をスイスに隠匿することで米国の税金を逃れる手助けをしたとして2013年、休暇中のイタリアで逮捕され、米フロリダ州で公判が行われた。

 検察側は、脱税額が総額200億ドル(約2兆2千億円)に上るとして、最高懲役5年、罰金25万ドルを求刑していた。

 2014年11月、ヴァイル氏は陪審員により無罪と判断され釈放。スイスに帰国した同氏は米検察に「身代わりにされた」と主張、自身の経験を著書にまとめて出版した。

 今回の判決に不服がある場合は、スイス連邦裁判所に上告が可能。

外部リンクへ移動
スイス公共放送(SRF)のドキュメンタリー番組、ドイツ語

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

スイス公共放送協会

おすすめの記事

スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。

もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
財布

おすすめの記事

スイスでは現金のチップが主流

このコンテンツが公開されたのは、 スイスのレストランでクレジットカードやスマホ決済が普及しているが、チップは今も現金で払うのが主流だ。消費者の多くは、チップが確実にスタッフの手元に入るようことを重視している。

もっと読む スイスでは現金のチップが主流
プラタナス

おすすめの記事

プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究

このコンテンツが公開されたのは、 スイスの研究所が新たな研究結果を発表し、プラタナスは猛暑でも冷却効果を発揮することが分かった。樹木の冷却効果は30~35℃で限界に達するという既存の仮説を覆す結果が出た。

もっと読む プラタナス、猛暑でも冷却効果 スイスの研究
ひまわり畑

おすすめの記事

見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦鉄道(SBB)は17 日、目に見えない障がいを持つ乗客を対象としたヘルプマークの配布を試験的に開始した。外見からは分からなくても支援・配慮を必要としている人への理解を深めることを目的としている。

もっと読む 見えぬ障がい伝えるバッジ、試験配布開始 スイス連邦鉄道

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部