Navigation

自治体合併の動き スイスでも

1999年、ティチーノ州では7つの自治体がカプリアスカ市に合併した。 Keystone

人口1,000人といった小さな自治体も多いスイスだが、最近になって合併の動きが出てきた。連邦制のスイスでは合併などタブーと思われてきたことから、最近の動きは注目される

このコンテンツは 2005/04/18 16:48

財政問題が合併の主な理由であるが、そのほかにも、質の高い公共サービスが合併することで得られるのではないかという住民の願いがあるからだ。

「小自治体」と呼ばれる自治体がスイスでは2,758ある。このうち1,500は人口1,000人に満たない。「自治体の数は刻々と減少している」と語るのは、スイス自治体連盟のシギシスベルト・ルッツ理事長。中期的にはスイスの自治体数は2,000まで減少すると見る。1970年から35年間ですでに300の自治体が消滅した。以前のように合併はタブーではなくなり、多くの自治体で合併の検討が行われている。とはいえ、財政難だけを理由には合併は進まない。「精神的な面です。愛着とか伝統とか、無視できない面がある」とルッツ氏。

ワッペンでひと騒ぎ

合併を検討する自治体に向けて、クール市にある技術・経済工科大学が出版した『合併の手引き』には、「合併に伴い、必ず問題に直面するとは限らないが」と但し書きをした上でいくつかの例を挙げている。

そのひとつは、スイス東部のグラウビュンデン州でルネツ市がスラウナ市に合併したときの例だ。新しい自治体のワッペンのデザインが問題となった。小学生にワッペンのデザインの募集をしたところ、橋の下にこうもりのデザインが第一候補として上がった。自治体には住民の数よりこうもりの数が多いというのがデザインの理由。住民は新しいワッペンを支持したが、議会はワッペンにこうもりなど不謹慎とこれを却下。許可されたのは、川と3つの星をあしらったものだった。

進む「行政改革」

『合併の手引き』の著者の一人、ウルシン・フェッツ氏によると、連邦や州政府が人口の少ない自治体に合併を検討するよう圧力を掛けるようになった。一方で、住民も合併を望んでいるという。住民が合併を望む主な理由は、公共サービスの質の向上を求めるため。「ドイツと違ってスイスはそもそも、連邦国家の制度改革が行われなかった。ドイツでは人口100人以下の自治体などありえない。スイスはいま、改革に手が付けられ始めたところだ」

財政難が解決されただけではない

人口が多い大きな自治体では、公共サービスも独自で質の高いものを提供できるのは当たりまえ。大きければより独立性がより高くなり、よりプロフェッショナルになり経済的。しかも、州の負担も軽減される。フェッツ氏によると、合併がうまく進むコツは、さまざまなコミュニケーションを、どのようにうまくとるかがポイントだ。「合併が必ずしも財政を助けるかどうかは疑問だ」という。

「公務員の数が多ければ、コストもかかる。長期的に見ると合併して良かった」と言うのはベルン州のヴィヒトラッハ(Wichtrach)の市長、ペーター・リュティ氏。2002年にオーバー・ヴィヒトラッハとニーダー・ヴィヒトラッハが合併してできた新しい自治体の市長だ。合併の際にはコストがかかったが、あと3年経ったなら、0.1%の減税を達成できると見込んでおり、合併は財政を助けるという意見だ。

リュティ氏はさらに、合併が有意義になるかどうかは「合併の決定の際に決まることではなく、どのように実践していくかにかかっている」と語る。合併によって財政難が解決したということもあるが、市がより独立した自治体になったという。たとえば、都市計画など、合併前だったらできなかったであろう計画も進んだ。街並みが整うことで、市としての魅力も上がったという。

swissinfo ウルス・マウラー 佐藤夕美(さとうゆうみ)意訳

キーワード

スイスには2,758の自治体がある。
そのうち1,500は人口が1,000人以下
1970年から35年間で300の自治体が合併した。
人口3,000人以上だと財政面では理想的といわれる。

End of insertion

このストーリーで紹介した記事

この記事は、旧サイトから新サイトに自動的に転送されました。表示にエラーが生じた場合は、community-feedback@swissinfo.chに連絡してください。何卒ご理解とご協力のほどよろしくお願いします

共有する

この記事にコメントする

SWIアカウントをお持ちの方は、当社のウェブサイトにコメントを投稿することができます。

ログインするか、ここで登録してください。