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若者による暴力犯罪の脅威は事実無根?

若者の暴力犯罪は本当に増えているのだろうか? RDB

若者の暴力事件が急増しているという警察の統計と一般認識に対し、チューリヒ大学の調査は疑問を投げかけた。過去8年間の少年犯罪の伸率にほぼ変化がないことを、この調査は示している。

このコンテンツは 2008/01/04 15:26

昨年10月の総選挙直前には、若者の犯罪、特に外国人移民の間で起きた犯罪が非常に目立った。さらに、学校で起きたレイプ事件の発覚はスイス国民に大きな衝撃を与えた。

連邦統計局 ( BFS/OFS ) の発表によると、警察に報告のあった若者の暴力犯罪件数は過去8年間で倍増している。しかし、チューリヒ大学の調査では、実際の少年犯罪の伸率は14%に留まった。

自首する若者の増加

警察の数字が膨らんだのは、自ら名乗り出る若者の数が以前よりも増えているためだと、大学の調査関係者はみている。
「両親に促されて自首するケースが増え、警察の報告件数が増加しているのです。また、10年前と比べると、警察は公式記録をよく作成するようになりました」
犯罪学者であり、今回の調査員でもあるマヌエル・アイスナー氏は語った。

警察によると、凶器を使用した暴力事件の今年の報告件数は1.56倍に増えた。しかし、大学の調査では事件件数にわずかな増加しか見られないことから、警察に自首した若者が特に多かったといえる。

1999年と2007年に、チューリヒの学校に通う生徒2500人以上を対象に調査が行われた。1999年の結果と比べると、2007年の暴力犯罪の被害者数は増加し、14歳と15歳の子どもの4人に1人が、過去2年半の間に暴力犯罪の犠牲になっている。

校内レイプ

チューリヒ大学の調査では、事件数が増加しているにもかかわらず、自らの犯行を認めた若者や被害者の数はわずかに落ち込んだ。アイスナー氏によれば、繰り返し暴力をふるう若者の数が増え、何度も被害を受ける犠牲者の数も増えているという。
「現在、若者のグループの中にある暴力を生む環境と、個人を狙った事件数の増加を調べています。彼ら少数グループの犯罪が、ライフスタイルや人種、または居住地域と関係があるかについては、まだ分析結果は出ていません」
とアイスナー氏は言う。

スイス人の多くは、外国からの移民の中でも、反社会的行為をする人たちが犯罪にもっとも走りやすいと見ている。大学の調査では、外国人の若者の22%が暴力犯罪に関わっていて、増加の一途をたどっている。一方、暴力犯罪を犯したスイス人の若者の数 ( 12% ) はわずかに減少している。

今年は学校内で起きた性犯罪が大きく報道された。チューリヒのゼーバッハ地区で起きた集団レイプ事件もその1つだ。12月初めには、ゼーバッハ事件の13人の容疑者のうち2人だけが起訴され、また、性的虐待に関する事件が学校から報告されたため、世間は憤りを隠せなかった。

アルコールにかわり、コンピュータ

性犯罪の数は全体的に減少しているという報告からすると、ゼーバッハ事件や校内レイプ事件は際立って見えるだろう。しかし、学校で起こる事件の数は増え続けていて、さらに、事件に巻き込まれる子どもの平均年齢は低下している。

調査では、若者の問題解決能力の欠如を指摘し、また、若者による犯罪の増加に対する社会の対応を変える必要性も指摘している。若者はパソコンの前で過ごす時間が多くなり、覚せい剤の使用や飲酒は少なくなってきているが、家族と過ごす時間も少なくなり、屋外に出ることもなくなってきている。

「子どもの自由時間を監督する能力を、親にも身につけさせる必要があります。放置しておけば、子どもたちはポルノ画像を掲載するメディアへのアクセスをもっと自由勝手にするようになります」
と、アイスナー氏は語った

swissinfo、マシュー・アレン 中村友紀 ( なかむら ゆき ) 訳

補足情報

- 1999年に、チューリヒ大学はチューリヒ州に住む14歳と15歳の若者2693人を対象に調査した。同大学は2007年に調査した2553人の結果と99年の結果を比較した。
- 調査対象となった生徒は、各自の社会的行動の詳細を回答するほか、犯した犯罪の種類を匿名で記入した。
- 調査結果は若者の暴力犯罪に関する警察の公式統計と比較された。
- ドイツ、オランダ、スウェーデンでも同様の調査が行われ、同じ結論が出た。数年前に比べると、警察に自首する傾向が高まっていることから、警察の報告数は増加している。

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キーワード

連邦統計局 ( BFS/OFS ) の公式発表によれば、2005年 ( 有罪判決数1万4106件 ) と2006年 ( 同1万4045件 ) を比較すると、国内の少年犯罪はわずかに減少した。
2006年の男女内訳は、男子79.5%、女子20.5%。
2006年の有罪判決数の内、スイス人の若者の割合は64.1%だった。2005年は62.7%だった。
チューリヒ州では、2006年に過去5年間で初めて有罪判決数が減少した ( 2870件 )。2005年は2936件だった。

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