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スウォッチグループのビル、銀座にオープン

14階には、展覧会などイベント用の会場もある。もちろんアフターサービスなどカスタマーサービス部門も充実しているという AFP

5月23日、スウォッチグループのビル「ニコラス・G・ハイエックセンター」が銀座にオープン。

スウォッチグループの戦略の1つ「世界の各主要都市で際立った存在としてスウォッチグループの店を創っていくこと」の日本での試みである。

 現代建築家の作品が乱立する、銀座の建築展覧会場のようなところにこの14階建てのニコラス・G・ハイエックセンターはある。コンクールによって世界的に有名な建築家、坂茂 ( ばん しげる ) 氏の設計が選ばれた。

ニコラス・G・ハイエックセンター

 1階にスウォッチグループに属する高級時計ブランド、オメガ、ロンジン、ブレゲなど7つのブランドのショールームが並べられている。中央通りから入った客は軽くそれらを覗き、興味があれば、そのショールーム内に設置されているエレベーターで、各階のそのブランドの店舗に行くことができる。つまり各ブランド専用エレベーターがあるというわけだ。

 通り抜け可能なこの通路には、壁に沿って植物が植えられ「垂直な庭」が設置されていて、緑に囲まれながらスイス高級時計を眺められる軽やかな空間が売り物。

 スウォッチグループは2004年に、60年代の建物を含め475平方メートルの土地を1億5000万フラン ( 約148億円 ) で購入。 建設総額はこの土地代を含め、2億フラン ( 約198億円 ) という。

なぜ東京に

 デパートでも高級時計を売り出している今日。「しかし彼らは売っているものの質がよく分かってない」とスウォッチグループの創始者で今は会長のニコラス・G・ハエッイク氏は、23日のコミュニケで嘆いている。

 「我々は、時計製造の質の高さをお客に知らせたい。それも製造される環境も含めてお客に伝えたい」。そのためには独自な建築、独自なスペースを作り上げるしかなかったという。そこで「ブランドができた過程、すなわちブランドのDNA」をお客に伝えるのが目的だという。

 その際、「建築物は単なる販売店ではなく、スイスの時計産業を含め、スイスの風景、平和、安全性、美を愛する国民などスイス性を象徴するものにもなるべきだ」と続けている。

 またグループにとって、日本はアメリカ、香港に次ぐ第3の市場。ここに、こうしたセンターを建てるのは当然。日本全国での売上総額の10%をこのセンターからと考えている。

 今後、これで成功すれば「世界の各主要都市で際立った存在としてスウォッチグループの店を創っていく」というコンセプトは世界中で繰り広げられるという。

 しかし「日本のセンターは日本の環境、文化を考慮しての建物。上海では、また上海の文化、伝統を考慮。そういう意味で各プロジェクトはただ1つのユニークなものになる」とグループの広報、ベアトリス・ホワルド氏はスイスインフォに対して強調した。

swissinfo、外電 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

スイスの時計産業界は70年代から80年代初め、日本製の安価なクオーツ時計のせいで、大打撃を受けていた。

スイスの主要産業の1つとして完全に消滅させるわけにもいかない。そんな時、ロンジン、オメガなどが属していた主要2グループの株を半分買い取り、さらに安価なスウォッチ時計を発売して、スイス時計産業を救ったのが、ニコラス・G・ハイエック氏。

そうして1998年スウォッチグループが登場した。東京のセンターはそうしたグループの新しい戦略の一環である。

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