チューリヒ空港が許容量を超える?
スイスのハブ(拠点)空港である、チューリヒ空港が12年後には旅客需要拡大により許容量を超えるだろうという調査が出ている。今後、需要に見合った拡張はあるのだろうか。
スイス連邦民間航空局がミュンヘンの交通審査機関であるインタープラン(Interplan)に依頼した調査によれば、チューリヒ空港に離着陸するフライト数は現在の26万6700便から2017年には35万便、2030年には45万500便まで増えるだろうと予測している。
チューリヒ空港は年間、35万便が上限(キャパシティー)の設計になっている。
搭乗客数は現在の年間1710万人から、今後25年間には年間3990万人にまで増えると調査は予告している。
これを受けて連邦民間航空局は声明書で「もし、この調査の予測が立証されれば、中期、長期的な整備基盤の一環として新しい滑走路の建設も必要」と記している。
懐疑的な見解
航空専門家のセップ・モーザー氏はこの楽観的なシナリオを多少疑ってかからなければならないという意見だ。「予測と言うのはいつも大変難しいもので、実際に何が起こるかまだ分かりません。例えば、鳥インフルエンザが大流行すれば航空産業は崩壊するかもしれませんし、経済成長が大きく回復すれば航空産業は急成長するかもしれません」と慎重だ。
また、同氏は「チューリッヒ空港の滑走路システムは確かに、助走するための滑走路と進入路が重なっているため、本来的にあまり良い機能を持つとは言えません。しかし、周りが丘に囲まれているため、地形的に新たな滑走路を作ろうというのは不可能に近いのです」ともつけ加えた。
また、周辺地元住民からの反対も考えられる。ドイツが2003年にドイツ側からのチューリヒ空港への進入路を禁止して以来、スイス側上空からの進入路が増えた。このため、地元住民の騒音反対運動が拡大している。
「滑走路の変更などには住民投票が必要で、現在の地元住民の状態を考慮すると、了解を得るのはまず無理でしょう」とモーザー氏は言う。
swissinfo、マシュウ・アレン、 屋山明乃(ややまあけの)意訳
<チューリッヒ国際空港>
– 現在、空港を利用するフライト数は毎年16万6700便だが、2020年には40万1900便、2030年には45万500便に需要が拡大すると予測している。
– 搭乗客数は現在の年間、17万1000人から2020年には31万9000人、2030年には39万9000人になると予測。
– 連邦民間航空局(BAZL/OFAC)は現在、商業航空輸送を見直しており、2007年に発表する予定だ。
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