パキスタン史上最悪の洪水
今後1週間さらに雨が続くと予想されるパキスタンでの洪水被害の深刻さに、世界各国や国際機関などが動き始めている。スイスも政府、民間ともに支援を開始した。
「初期のゆっくりとした国際社会の反応にはかなり落胆したが、今は被害の大きさに対しての認識が高まり支援も軌道に乗り始めた」と8月17日、ジュネーブのパキスタン政府代表部大使ザミール・アクラム氏は語った。
パキスタン史上最悪の洪水
アクラム氏によれば、洪水の被災者数は1400万人に及び、これは国民の10人に1人にあたる。また、被災地域はほぼイギリスの国土面積に等しい広さだという。
さらに国連 ( UN ) の発表によれば、死者は1600人以上を数え、90万戸の家が崩壊し、パキスタン史上最悪の洪水になった。
国連世界食糧計画( WFP ) は現在までに約100万人分の食糧を供給したが、今後600万人分を用意する必要がある。
国連難民高等弁務官事務所 ( UNHCR ) のアンドレ・マヘチック氏は
「被災地域の状況が悪化する一方、南部で河川の水かさが増している」
と話し、特に南西部バルチスタン州の被害が拡大しており、飲料水、食料、テント、衛生対策、すべてを必要としているという。
国連は先週、約4億7900万フラン( 約390億円 ) の支援金を集めるキャンペーンを出した。
「順調に動き出している。今は資金が集まるのを待つだけだ」
と国連人道援助局の代表、エリザベス・バイヤー氏は話す。
スイス、政府、民間とも支援に
一方、スイス政府は、連邦外務省開発協力局 ( DEZA/DDC ) から670万フラン ( 約5 億4600万円 ) を支援。さらに緊急援助金として300万フラン ( 約2億4400万円 ) を赤十字国際委員会 ( ICRC ) に、100万フラン( 約8150万円 ) を国連世界食糧計画 ( WFP ) に渡した。
またスイス政府は連邦外務省開発協力局から11人の被害調査団を送り込み、うち6人は特に飲料水と住居用シェルターの需要調査に、また5人は現地で実際のオペレーションにあたる。
また今日8月18日は、スイス公共放送が支持する民間団体の人道援助の資金集め「幸福の鎖 ( La Chaîne du bonheur ) 」が「パキスタンでの被災者に援助の手を差し伸べるナショナル・デー」のキャンペーンを張る。同団体にはすでに310万フラン( 約2億5200万円 ) が寄せられている。
「ほかの国と同様スイスでも、パキスタンの被災状況はすぐには把握されず、寄付金の集まり方は初めのうち非常にゆっくりしていたが、現在は大丈夫だ」
と同団体代表者プリスカ・スポリ氏は話している。
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