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変化する世界が議題 ダボス会議開幕

ダボス会議の開かれるスイス東部のダボスで主催者側のアンドレ・シュナイダー副ディレクター (WEF/swiss image)

スイスの民間経済研究機関、世界経済フォーラム ( WEF ) の年次総会であるダボス会議が24日からスイスのリゾート地、ダボス ( Davos ) で開幕される。「世界の知性の集い」との定評のあるこの会議では経済だけでなく様々な視点から世界情勢が話し合われる。

今年のテーマは「力の均衡の変化」。WEFの副ディレクター、アンドレ・シュナイダー氏に今年のハイライトについてインタビュー。

地球温暖化などの気候変動問題、石油価格の上昇に伴うエネルギー問題、テロ対策や中東和平問題などが今年の議題に上がる予定で28日までの5日間に渡って討議される。

swissinfo : 2007年のダボス会議開催を前に創設者のクラウス・シュワブ氏が世界を「分裂病」と語りましたが、これはどういう意味ですか。 

シュナイダー :  一方では多くの人が世の中は良い方向に向っていないという気持ちを抱いています。その一方では世界経済の成長率は長い間見られなかった伸びを記録しました。スイスでも失業率はこれまでにないほど低いです。(2006年は3.3%)言い換えれば、多くの人の認識と現実がかみ合わないのではないかというのが我々の受ける印象です。

swissinfo : 精神分裂という言葉からすると、世界が悪くなっているか、またはWEFが楽観的な視野を持たなくなったということでしょうか。

シュナイダー : 違います。というよりは、現状の確認です。経済的なファクトと人々の意識とのギャップがあるということです。

これは幾つかの政府の反応にもうかがえます。成長が世界経済の往来の賜物であるのにも関らず、世界貿易にブレーキをかけたりする動きです。

swissinfo  : 政治面では今年はイスラエルの高官やパレスチナ自治政府のアッバス議長が出席します。中東和平問題の行き詰まりの打開を期待できるのでしょうか。

シュナイダー  : 何かを予測するには早すぎます。重要なのはダボスで非公式でオープンな話し合いの場を提供するということです。

各国政府に開かれたプラットフォームというだけでなく、経済や市民団体なども参加でき、意見交換をし、最終的には将来の可能なイニシアチブの土台をつくるのが目的です。

swissinfo : 今年、2007年のダボス会議を前に何か特別な期待はありますか。

シュナイダー  : 実際は今までと同じアプローチを維持しています。それぞれのアクターに個別の分野に固執しないで柔軟でいることがいかに重要かを実感してもらうのが目的です。

経済分野のアクターは特に政治的、社会的な役割を背負わされています。このような全般的な交流がなければ現在、直面している大きな問題への長期的な対応ができません。

swissinfo : 今年のテーマは「力の均衡の変化」です。これはどういう意味でしょう。

シュナイダー  : 例えば、アジア、ラテンアメリカ諸国やロシアといった国の新しい役割などを指します。エネルギーの安全問題もそうです。そのほか、世界的な成長を途上国が享受しながらどうやって実際に環境を守っていくかといったことです。

swissinfo  : 世界の重心がアジアと太平洋へ向っているというのが現在の大きな変化といえます。ダボスはヨーロッパの中心にありますが、地球のリーダーたちが集まるのに本当に適した場所でしょうか。

シュナイダー : もちろんです。世界の重心の変化が存在するとしても、それでもヨーロッパの経済的な力は相当なものです。

実際にはアジアが世界のレベルへ到達するのはまだまだです。アジアを別とすれば、ラテンアメリカ諸国やロシアの発展も忘れてはいけません。

ダボスとスイスは中立国として、様々な人々を集め非公式でオープンな議論を展開する特殊なプラットフォームなのです。

swissinfo  : 様々なテーマで全部で220の会議、討論やワークショップが開かれる予定です。どのようにして議題を選ぶのでしょうか。

シュナイダー : これは参加形の長時間を要するプロセスです。まずは前年の年次会議でされた討論の主要な結論を分析していきます。

その次に、スタッフは世界を駆け回り、会員やパートナー、学者や政治家と話し合います。目的は新しい問題提起を見つけることです。

一貫性が見えてくるということを強調したいです。2005年には直面していかなければならない大きなチャレンジを明確にしました。2006年には長期的な発展をするには新しい概念と創造性が必要であるということをはっきり強調しました。今年は現在、直面している大きな変化を考慮する必要性があります。

swissinfo、 聞き手 ピエール・フランソワ・ベソン、 屋山明乃 ( ややま あけの ) 意訳

– 今年の日本人の参加者は約50人。

– 政界からは大田弘子特命担当大臣、甘利明経済産業大臣、松岡利勝農林水産大臣、小池百合子首相補佐官が参加する予定。

– その他、著名人に緒方貞子氏、竹中平蔵前総務大臣、川口順子元外務大臣などが参加予定者リストに。

– 2007年の年次総会は1月24〜28日までで、2400人が参加予定。うち、国家主席が24人、大臣やトップ経営者が85人、研究者や市民団体からは400人。

- スイスからは4人の閣僚が参加し、ミシュリン・カルミ・レ大統領兼外相がオープニングのスピーチを行う。ドリス・ロイタルト経済相は世界貿易機関 ( WTO ) に加盟する30人あまりの各国政府要人と非公式な会見を行い、行き詰るWTO交渉の再スタートを試みる。

- ダボス会議・世界経済フォーラム ( WEF ) とは「世界・地域・産業の諸問題について各界のリーダー達が連携することにより、世界の現状の改善に向けて取り組む」組織と定義している。(WEFのサイトより)

- 「影のサミット」とか「世界のエリートクラブ」などとも呼ばれるダボス会議は、参加者にとっては分野を超えた幅広い人的ネットワークが作れるのが魅力といわれる。

- しかし、WEFの年次総会に出席するにはメンバーであるか、招待されなければならない。1000社ほどに限定されている企業は総売上高が50億ドル(約6000億円)を超える多国籍企業であるだけでなく、その分野・地域でのリーダーで、基盤がしっかりし、成長の見通しがあるなどといった資格の上で選ばれる。日本では東京電力などが会員だ。

- 会員は年会費3万5000フラン(約340万円)の他、ダボス会議への参加費(CEOのみ可能で経費は約1万8000フラン、約175万円)を支払わなければならない。

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