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風力エネルギー開発の行き詰まりに終止符

モン・クロザンの風力発電所の建設は、計画段階から地元の住人が参加していたことで称賛されていた

(Keystone)

スイス中に風力発電用の風車がやみくもに建てられたが、より優れた計画を作り、風力発電に対する反対を避けるために話し合いを行うときが来た。

これは先週ベルンで開催された会議の結論だ。会議に出席した約200人の大半は、風力発電所の建設を支持する人々だ。

国の利益

 同じ日にヌーシャテル州が、風力発電所 を5カ所に新設する計画を発表し、風力発電開発の推進を目指す方針を示した。それまで論争の的となっていたショーモン ( Chaumont ) の候補地は敢えてこの計画から除外された。

 また、ショーモンからそう遠くない場所にあり、スイス一成功している風力発電所と評されるベルン州のモン・クロザン ( Mont Crosin ) の発電所で、8基の新しい風車が稼働を開始した。この発電所では16基の風車が4キロメートル四方に散在し、1万2000戸の需要を満たすに十分な年間4000万キロワット時の電力を生産している。

 モン・クロザンは、建設計画の初期段階から地元住人の参加に成功した好例と言われているが、自然と野生生物に対する風力発電所の影響からはまだ教訓を引き出すに至っていない。

 2006年にスイス政府は、風力エネルギー開発は国にとって利益になると宣言し、開発支援を行っている。風力エネルギー開発の構想が作られ、発電所の建設地についてのガイドライン、風車の基準、2010年までに50~100ギガワット時の電力を生産するという目標が設定された。

 しかしモン・クロザンに新設された風車8基とほかの2カ所の風力発電所の発電能力を合わせても、今年の年末までに達成できるのは50ギガワット時に過ぎない。

無理解

 風力発電を推進するスイスの協会「スイス・エオル ( Suisse Eole ) 」とベルンでの会議を共催した自然保護の NGO 「プロ・ナチュラ ( Pro Natura ) 」によると、会議ではどこにどうやって風力発電所を建設するのか、そして優先事項は何かなどの質問が出されるにとどまった。

 「 ( 再生可能なエネルギーの開発という ) 中心課題に対する反対はありませんでした。しかし、具体的な計画について話し出すや否や、理解が得られていないことがわかりました」
 とプロ・ナチュラの広報ニコラス・ヴュトリッヒ氏は語った。

 「また、景観を護るために風車の一番良い建設場所はどこか、鳥に影響を与えない場所はどこかなど、われわれも答えられない質問がありました」
 
 複雑な手続きや計画への反対の可能性などもあり、スイスの風力利用は他国よりも遅れている。モン・クロザンの新しい風車8基の建設許可が下りるまでに8年もかかった。

必要不可欠な話し合い

 風力発電を推進するためには、計画と話し合いが不可欠だとヴュトリッヒ氏は言う。
 「会議で誰もが必ず尋ねてくるのが計画についてです。われわれは、まだ計画を立てていない州の計画も、そして州と州の計画も作成して欲しいと希望しています」

 またヴュトリッヒ氏は
「あちこちでプロジェクトが突然立ち上がっていますが、それらのプロジェクト全てを実行することはできません。従って、実行すべき重要なプロジェクトはどれか、そして優先事項は何かについてもっとよく考える必要があります。話し合いのゴールは共に解決策を探ることです。特定の計画を実現するためには、両者の違いは何か、そして両者に欠けているものは何なのかをはっきりさせなければなりません」
 と付け加えた。
 
 ベルンの会議では、異なるスタンスに対する理解を深めるための交流が進み、話し合いへの第一歩になったとヴュトリッヒ氏は語った。また、風車の建設に伴う景観の変化や、風車のグループ編成の必要性、全関係者の計画段階からの関与がプロジェクトの成功につながることなど現在の考え方を検討した。

 中道左派の「社会民主党 ( SP/PS ) 」の議員バルバラ・エッガー・ジェンツアー氏は、風力発電所の問題に関してスイスは「ターニングポイント」に来ていると会議の出席者に訴えた。「緑の党 ( die Grüne / les Verts ) 」に所属するローザンヌの政治家ジャン・イヴ・ピドゥ氏と議員のゲリー・ミュラー 氏は、スイスのエネルギー政策をいかに環境に優しいものにできるかという課題について要点を説明した。

将来に備えて

 スイス・エオルにとって次のステップは、問題のあるプロジェクトとその障壁を調査し、風力発電所の影響についての研究にどれだけ時間がかかるのかなどの課題を徹底的に掘り下げることだ。

例えば、風車のブレードにぶつかって死ぬ鳥の数やその数が許容できるものかかどうかなどについての調査と研究がある。これは、風車について政府が出した最初の指示に従いつつ、現状に沿うよう「微調整」するためのものだ。

 「反対が出る前に平和的に問題を解決したいのです。これについては、風力発電所の推進派と環境保護派、そして関係する州政府との間でまだ話し合いが必要です。」
 とスイス・エオルのマルタン・ケルネン氏は語った。

ジェシカ・デイシー 、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳 笠原浩美 )

風力

風力エネルギーは、空気の流れが風車のブレードを回すことによって生じる運動エネルギーを使って作り出される。風車の回転が生み出したエネルギーを発電機が電力に変換する。
スイスにおける風力エネルギー施設の第一号は、1986年に28KW ( キロワット) の発電力で稼働を開始したランゲンブルック ( Làngenbrück ) の風力発電所だ。2007年の公式数字によると、スイスには30カ所の風力発電所 があり、合計で14GWh ( ギガワット時 ) の生産力がある。それらの風力発電所の中で最大のものは、ベルン州のジュラ地方にあるサン・イミエ ( St. Imier ) 近くにあるモン・クロザン ( Mont Crosin ) の風力発電所だ。ほかの風力発電所で比較的大規模のものは、ヴァレー州、ルツェルン州、ウーリ州に位置する。
スイスは、2030年までに年間約600GWhまで生産力を伸ばせるようになるよう期待している。

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スイス風力エネルギー開発の構想

クレ・ムロン ( Crêt-Meuron ) ・ウインドパークに関する2006 年の決議において、内閣は風力エネルギーの開発は国益だと述べた。その結果、政府は連邦エネルギー省エネルギー局 ( BFO/OFEN ) 、連邦環境省国土開発局 ( ARE ) 、連邦環境省環境局 ( BAFU/OFEV ) ガイダンスの下で風力エネルギー開発の構想を作成した。

この構想は、風力発電所の計画と建設の条件を規定し、適切な用地に焦点を当てることを推奨している。適切な用地の基準は、風の周波数と風力、住宅地からの距離、自然との融和性および景観の保護を含む。またこの構想は、州と地方自治体が計画を立てる際の参考資料として機能する。
構想の目標は、「スイス・エネルギー・プログラム」のサポートの下、風力エネルギーの開発を推進し、50~100GWhの電力を生産することだ。

連邦エネルギー省は、スイスの風力開発を推進する協会「スイス・エオル ( Suisse Eole ) 」に、風力エネルギーの売買促進を委託した。スイス・エオルは、手続きの計画、コミュニケーション、候補地の確認などの面で開発企業、プランナー、当局をサポートするほか、財政支援も行う。

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