国連改革に対するスイスの意見
21日から国連改革に関する非公式協議が開かれ、各国の意見表明が行われた。スイスのペーター・マウラー国連大使は「国連憲章改正議決案はより正確ではっきりした言葉遣いで書かれるべきである」と主張した。
今回の非公式協議は、9月の国連首脳会議の会合で安保理改革について討議が行われる前の意見交換である。
国際連合(UN)の改革の大きなテーマとして挙げられているのは、日本などが希望している安全保障理事会の常任理事国を15カ国から25カ国に拡大する「枠組み決議案」だが、このほか、途上国問題、安全問題、人権問題における改革案も出されている。スイスは特に、常設の人権評議会の新たな設置を求めている。
新しい人権理事会の設置
スイスは、現在ほとんど機能を果たさなくなった人権委員会に取って代わるものとして、常設の人権評議会をジュネーブに新設することを望んでいる。すでに、人権理事会の設置に関連するワークショップを60カ国の代表者を対象に開いた。今後、国連に加盟しているすべての国に参加してもらう予定だ。
米国はすでにスイス案を指示すると表明している。マウラー大使によると、中国も現在の人権委員会には将来はないと見ており、中国とは新しい理事会のありかたについて話し合いがもたれたという。
安保理の透明性と安全性が最優先
日本をはじめドイツ、ブラジル、インドなどが安保理の常任理事国入りを目指し、
安保理の拡大の「枠組み決議案」を提出する予定でいるが、スイスは、常任理事国の数にはあまりこだわっていない。むしろその透明性と非理事国とのコミュニケーションが重要と考えるという。
また、国連憲章改定議決案は、「価値と原則」などといった表現は避け、権利や法律などに対して拘束力のある表現にすべきであると主張。「国際秩序とは、法律、法治国家、人権を通して管理されなければならない」とマウラー大使は総会で演説した。
マウラー大使は、9月の国連首脳会議では、改革の基本的方針が固まる可能性は高いと見通しているという。
swissinfo 外電 佐藤夕美(さとうゆうみ)意訳
スイスと国連
加盟年 2002年9月10日
加盟以前から多種の活動に参加していた。
スイスは国連で世界の平和と安全に特に力を入れている。
9月にはニューヨーク国連本部で国連首脳会合が開かれる。
スイスは常設の人権評議会の設置を求めている。
常任理事国の数にはあまりこだわららない姿勢。
JTI基準に準拠
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。