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スイスの建築家、東京でデビュー 

外から見た青山のプラダビル。 Herzog & de Meuron

スイスの有名建築家が手がけた「プラダ・ブティック青山店」が東京都港区青山5丁目に7日、オープンした。

プラダビルは世界的な建築事務所、ヘルツォーク・アンド・ド・ムロン(以下H&Mと略称)の日本初の作品公開になる。

プラダ青山店

 世界的に有名なプラダのビルが青山に林立するデザイナーズファッションビルの仲間入りした。ビルはひし形のガラスをつなげたユニークな形で遠くからは地表に突如出現したガラスの氷山のようだ。特徴は不思議な素材のガラスで外からは内の商品が、内からは外の景観が透き通って見えるため、透明感がある。H&Mは装飾を排したミニマル(極小の芸術)な作品を好み素材で勝負する手法が多い。6階建ての館内のイベントスペースのほか、ビルの前には広場も設けられる予定だ。


プラダの戦略

 イタリアの高級ブランド「プラダ」は1999年から企業戦略として前衛建築家と組んでプラダの顔を世界に売る「エピセンター」(震源地)プロジェクトを始めた。青山はエピセンタープロジェクトの2店目だが、1店目は元美術館の古いレンガ作りビルを改装した、ニューヨークのソーホー店でオランダ人建築家レム・コールハウスが設計し、斬新なデザインで脚光を浴びた。プラダの新しいビジネス戦略を具体化したと言われ、建築家が商品ディスプレイとともにショッピングを演出するビジネスコンサルタントの役割を果たしている。

新しいコンセプト

 プラダジャパンはこのビルについて「従来のショップと異なる店作りをコンセプトに据え、面白い素材を使い、ショップの定義を覆す建築となる」としている。ジャック・ヘルツォークは「このプロジェクトは非常に興奮させられるものであり、プラダとの知的な意見交換も大変興味深かった」と語った。プラダは「買い物が現代人の生活の中心となり、買い物という行為がコミュニケーションや楽しみと交じり消費と文化が結びつくようになった今、新しいコンセプトが必要だ」と考える。

世界的な建築家

 ヘルツォーク・アンド・ド・ムロンはバーゼル出身の2人の幼馴染、ジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムロンの1978年からのチームで2000年に開館した近代美術館「テート・モダン」(ロンドン)の設計で一躍有名になった。2001年には建築界のノーベル賞と言われるプリッカー賞を受賞して世界の建築家の仲間入りを果たす。プリッカー賞は日本人では丹下健三(1987年)、槇文彦(1993年)、安藤忠雄(1995年)などが過去に受賞している。H&Mは2008年の中国、北京オリンピックの国立スタジアムを担当する建築家にも選ばれている。


スイス国際放送、A.Y.

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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