
国民投票に向けた署名がまたも偽造

医療品の安定供給を求める国民投票に向けて集められた署名のうち、3600筆以上が無効な署名だったことが明らかになった。大半の無効署名はジュネーブ州で集められたもので、自治体や州の有効性チェックをすり抜けていた。
スイスには1年半以内に有権者10万筆の署名を集めることで、市民が提案する政策案を国民投票に持ち込めるイニシアチブ(国民発議)制度がある。医療品供給イニシアチブ外部リンクが10月に連邦内閣事務局に提出した10万8709筆のうち、3626筆が無効な署名だった。ドイツ語圏の総合メディアグループTamediaの報道を同局が認めた。
3308筆はジュネーブ州で集められたものだった。内閣事務局によると、過去の国民投票10件ではジュネーブ州からの無効署名はわずか35筆だった。
大量偽造か
バーゼル新聞などTamedia系列紙は、同イニシアチブの無効票の多さは「専門家による大量偽造」との疑惑を呼んでいると報じた。イニシアチブ発起人委員会のアンドレアス・ファラー氏は、ジュネーブの署名用紙の多くは同じ人物の筆跡であることが科学捜査で明らかになったとTamediaに話した。
また無効票の大部分は、2大収集業者のうち1社が集めたものだという。
報道によると、ジュネーブ当局が検査した時点で無効票が「平均より多かった」。イニシアチブ発起人はフランス語圏のスイス通信社KeystoneーATSの取材に、真相を突き止めるための当局と協力していると話した。
別件で刑事告発も
医療品供給イニシアチブは、重要な医薬品や医療用品の不足を解消するための対策を連邦政府に義務付ける内容。医師や薬剤師らから成る発起人委員会によると、スイスで600種もの医薬品が供給不足に陥っている。
イニシアチブ原文は、外国からの輸入品供給網の強化を求める。国内の研究開発や製造を強化し、外国製品への依存度を下げることも提案する。
Tamediaは9月、別のイニシアチブで署名が大量に偽造されていたと報じた。内閣事務局によると、無名の人物に対して数件の刑事告発を行った。有料の署名収集代行業者のなかには、イニシアチブの発起人に依頼を受けることなく署名を集め、署名を押し売りするケースもあるという。以来、署名の有効性の検査は厳しくなった。
英語からのDeepL翻訳:ムートゥ朋子

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