欧州技術革新指標 スイスは2位
欧州委員会が調べた33カ国対象の欧州技術革新指標(EIS)によるとスイスはスウェーデンに次いで2位の好成績になった。これは米国(6位)や日本(4位)をしのぐ結果になった。
この好成績はスイスの製薬企業と精密機械産業のパテント数の多さに支えられている。暗い影を落すのは高い資格を持った人材が少ないことと、技術革新への公共投資が足りないことだ。
欧州委員会が行なった2005年版EISは全25加盟国をはじめ、スイス、ブルガリア、ルーマニア、トルコ、アイスランド、ノルウェー、アメリカと日本を含める。
スイスの好成績
連邦統計局の分析はスイスの好成績を「スイス企業がその革新努力を経済結果に結び付ける能力に起因する」と分析する。同局はハイテク分野の新規雇用や新しく登録されたパテントやブランドの数を挙げている。
確かに、企業が売り上げの3.5%も技術革新に費やしている国は他にない。発明の効率においてはスイスは住民1人当たり、460件のパテント(EU平均は344件)という数で首位にある。
この技術革新を支えているのはスイス企業がスイスのGDP比でいうと、2.2%を新しい開発研究リサーチに当てている点だ。2004年の欧州平均はGDP比で1.6%であり、この数値はスウェーデンの2.9%とフィンランドの2.5%に続くものだ。
若い資格のある人材不足
これに反して、スイスは新しい人材教育に問題がある。自然科学、精密化学、科学技術や科学工学の分野での教育では欧州平均以下に位置する。
このため、この分野で資格を持つ人は住人比でいうと、1000人中7.7人しかおらず、欧州平均の12.2人をはるかに下回る。連邦統計局によると、この数字はスイスの労働市場における高資格者の人手不足を明白にするもので、この欠乏は部分的に外からの移民によって補われているという。
足りない公共マネー
もう一点、この好成績に影を落としているのは公共支援の少なさである。スイス企業の僅か5.3%が政府から技術革新のための資金援助を受けている。しかし、スイス政府は2008年から2011年の教育、研究と技術革新の分野ではこの予算を大幅に見直し、50億フラン(約4500億円)増やす予定だ。
swissinfo、外電 屋山明乃(ややまあけの)
- 欧州技術革新指標(The European Innovation Scoreboard/EIS)は欧州委員会(European Commission)が毎年発表する欧州25カ国の加盟国のイノベーション能力を評価する26項目に基づいた調査報告で、日本と米国も加わっている。
- 2005年版のEISでは1位)スウェーデン2位)スイス3位)フィンランド4位)ドイツ5位)がデンマークだった。
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