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「EURO2008」を盛り上げるファッション

ビールの王冠がつながる「チェーンリアクション」( 左 ) 、「マイケルはサッカーの観戦に」

「EURO2008」といえばこれまで、経費、フーリガン対策、チケット購入問題など暗いことばかりが取り上げられてきた。今回「EURO2008」に話題の花を添えるのは、スイスとオーストリアのファッションデザイナーのコンペティションだ。

オーストリアの同チームはこのほど、チューリヒにて前半戦をプレー。来年4月にはスイスチームがウィーンに遠征する。

 「ボールは丸く、ゲームは90分」とサッカーを称したのはスイスの伝説的プレーヤー、ゼップ・ヘルベルガー選手。これに対してファッションデザイナーのベレニカ・リューネッセルさんとアルシアン・アタヨルさんは、サッカーを「男性とビール」にたとえ、ビールの王冠のドレスをデザインした。

スポーティーでグラマラス

 個性的でありたい女性のためのドレスに、リューネッセルさんとアタヨルさんが集めたビールの王冠は1000個。
「ジーンズに合わせればスポーティー。カクテルパーティのドレスとして着ればグラマラスになります」
 とリューネッセルさんは言う。

 コンビネーションによって、その性格ががらりと変わる丈の短いこのドレスは「チェーンリアクション ( ChainReaction ) 」と命名。ドレスのほか指輪やイヤリング、ブローチ、ヘアピン、カバンも製作する。 すべてが王冠からできている。

 このほどチューリヒで披露されたファッションは、国外にスイスの文化を伝える連邦政府機関「プレゼンス・スイス ( Presence Switzerland ) 」が企画した「11メートル・モード」に参加した、リューネッセルさんなどオーストリアのファッションデザイナーたちの手によるものだ。

フリーキックがゴールに

 スイスとオーストリアのモード合戦「11メートル・モード」の「11メートル」とは、フリーキックの別称。ペナルティによるキックという否定的な印象があるが同企画は、自由にキックすることであり、新しい形、色、素材、カット、技術を試す。

 「ファッションを通して、魅力的で躍進的な文化交流ができる」
 と在オーストリア・スイス大使館の「EURO2008」のプロジェクトマネージャであるアンドレア・リンツ氏は言う。若い創造者たちが、サッカーのエッセンスを一瞬のうちにすくい上げ、インスピレーションの源とすることで作品が競われる中で出来上がったのが、先に挙げたビールの王冠のドレスだ。王冠には参加国の旗がプリントしてある。主催国のスイスとオーストリアのみならず、参加国をつなげるという意味が込められているという。

フーリガンのイメージで

 デザイナーの1人、ミヒャエル・アイズナーさんは、子どもの頃からのサッカーファン。グラーツチームの熱狂的サポーターだ。専門は美術史だが、ファッションは独学で、縫製も手がける。
 
 彼のデザインは、フーリガンをイメージした「マイケルはサッカー観戦に行く(Michael goes Football ) 」というアウトフィット。オーストリアとスイスのファンのためのレーベル「ミヒャエル ( Michael ) 」で、究極的なデザインを打ち出す。赤と白のコンビのゆったりとしたケープを着れば、国旗を手に振る必要はない。腕を広げるだけで、洋服全体が国旗になる。フーリガンの一員として暴動に走るときは、フードをかぶって顔を隠すという、挑発的なデザインだ。

女性用のケープ

 やはりケープをデザインした「アーバンプレイヤー」を発表したのはウーリケ・コゲルミューラーさん。ブランド名「ウリコ ( Ulliko ) 」でシックなファッションを演出する。ロングボレロにマフラー。黒いレギングにサッカーボールがアクセサリーの靴をはく。必要最小限に抑えたデザインが、サッカーボールを浮き立たせる。色は黒、赤、白のみに限り、身体にフィットするカットで仕上げた。

 「11メートル・モード」は、実際のサッカーゲームより長いプレーとなる。前半の45分は、チューリヒのデザイナー展「アイキャッチ ( Blickfang ) 」でオーストリアチームが作品を出展した。後半はスイスのデザイナーが4月にウィーンでその実力を見せる。優勝者は「EURO2008」の勝者の同様、広く祝福されることだろう。

swissinfo、レナト・キュンツィ

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