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007でスイスの映画がスリル満点に

ジェームズ・ボンドの新作映画で007に扮したダニエル・クレイグを観ようと多くのスイス人が映画館へ詰めかけた

(Keystone)

昨年上映されたジェームズ・ボンド映画は、スイス人が監督し、スイス出身の俳優が悪役で出演している。スイスにおける映画観客動員数は、この作品によって勢いづいた。

2008年のスイスの映画観客動員数は、前年比で3.6%の上昇と暫定的な数字が算出された。経済危機の影響が表れ始めると、安価で日常生活から離れることのできる娯楽に人気が集まるため、専門家は2009年の数字も上向くと見込んでいる。

スイス人監督とスイス人俳優

 「2008年には1469万2184人の入場者があり、2007年より約50万人観客が増えました ( 3.56%増 ) 」
 とスイス映画協会「プロシネマ ( ProCinema ) 」の代表レネ・ゲルバー氏は語った。

 プロシネマは、2本の映画が昨年の観客動員数を押し上げたと指摘する。最も人気の高かった作品は、マーク・フォースター監督によるジェームズ・ボンドの「007 / 慰めの報酬 ( Quantum of Solace ) 」で、2月14日に公表された統計によると約77万6000人の観客を引き付けた。

 この作品の初公開は昨年11月にルツェルン近郊で盛大に行われ、主演のダニエル・クレイグが風邪のため欠席したにもかかわらず大盛況だった。フォースター監督に加え、スイス・ドイツ語を話す初の悪役を務めた俳優のアナトール・トウブマンも姿を現し、スイス人観客を喜ばせた。

根強いボンド・ファン

 原作によると母親がスイス人のジェームズ・ボンドは、いつもスイスで好評を博すると映画評論家で学者のクリスチャン・ユンゲン氏は言う。
「こんなにたくさんの人がジェームズ・ボンドを観に来る国はほかにありません。スイスという国の規模を考えると、この作品の撮影が行われたアメリカや近くのイタリア、オーストリアと比べても非常に多いです」

 スパイ映画のすぐ後に続くのは、フランスのコメディ「仮題 / シュティの国へようこそ ( Bienvenue chez les Ch’tis ) 」だ。71万3000人以上の観客を動員し、驚異の大ヒットとなったこの作品は、厳格な北フランスと明るい南フランスの文化的な衝突を描きフランスの興行成績を塗り替えた。リメイク権はハリウッドが買収済みだ。

 同作品のスイスでの人気は特にフランス語圏で高いが、ドイツ語圏でも1960年代以来最多観客動員数を記録したフランス映画となった。
「『シュティの国へようこそ』を初めて観たとき、プロデューサーたちはフランス色が強すぎて外国ではあまり受けないだろうと思ったのですが、成功した理由の1つは、なぜこの映画がフランスでそんなにヒットしたのかスイス人が興味を持ったことにあります」
 とユンゲン氏は説明した。

 一方スイスの映画作品は振るわず、2007年に5.38%あったシェアは3.1%に落ち込んだ。最も人気を集めた作品は、アルプスの農家を描いた「仮題 / 上り・下り( Bergauf, Bergab) 」というドキュメンタリーだ。ユンゲン氏は、これは「マルタのやさしい刺繍 / 遅咲きの乙女たち ( Die Herbstzeitlosen ) 」のような大ヒットがなかったせいで、通常1本が大ヒットすれば観客動員数が上るという。

エスケープ

 しかしユンゲン氏は、2008年の映画興行成績の伸びは作品の人気だけが理由ではないと言う。
「経済危機は映画館にとって好機です。なぜなら15~16フラン ( 約1200円~1300円 ) と外食などのほかの娯楽に比べて安上がりで、日常生活を忘れる事ができるからです」

 この状況は2009年も続く可能性がある。スイス・ドイツ語圏における今年に入って以来6週間の統計によると、観客動員数は前年同期比ですでに15.4%の上昇を示しているとユンゲン氏は言う。

 またプロシネマも映画館に足を運ぶ人の数が今年はもっと増えると期待している。
「2009年の初めから、今までのところ最も成功しているのは『オーストラリア ( Australia ) 』で、20万人以上の入場者がありました」
とゲルバー氏は語る。

 ほかの国と同様、スイスでもハリウッド映画に人気が集中し、突出したシェアを見せている。これから上映予定の作品の中で、ハリウッドが今年の大ヒットを狙っているのは「ハリー・ポッター」の新作と「アイスエイジ」の第3作目のようだ。

swissinfo、イゾベル・レイボルド・ジョンソン 笠原浩美 ( かさはら ひろみ ) 訳

キーワード

<2008年の映画トップ10> 1位:ジェームズ・ボンド・007 / 慰めの報酬 ( Quantum of Solace ) 2位:仮題 / シュティの国へようこそ ( Bienvenue chez les Ch’tis ) 3位:マンマ・ミーア! ( Mamma Mia! ) 4位:マダガスカル2 ( Madagascar Escape 2 Africa ) 5位:インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 ( Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull ) 6位:カンフー・パンダ ( Kung Fu Panda ) 7位:ハンコック ( Hancock ) 8位:WALL・E / ウォーリー ( Wall-E ) 9位:ダークナイト ( The Dark Knight ) 10位:セックス・アンド・ザ・シティ ( Sex and the City )  
<2008年のスイス映画トップ10> 1位:仮題 / 上り・下り ( Bergauf, Bergab ) 2位:仮題 / ホーム ( Home ) 3位:仮題 / 友人 ( Der Freund ) 4位:仮題 / マックスとその仲間たち ( Max & Co ) 5位:仮題 / アルプスの美しさ ( Schönheiten des Alpsteins ) 6 位:仮題 / マルチェロ・マルチェロ ( Marcello, Marcello ) 7位:要塞 ( La Forteresse ) 8位:仮題 / 遊牧民の地 ( Nomad’s Land ) 9位:課題 / ハッピーニューイヤー ( Happy New Year ) 10位:鳥の巣、中国のヘルツォーク&ド・ムーロン ( Bird’s Nest – Herzog & De Meurron in China ) 出典:プロシネマ、2008年の暫定的な数字

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スイスの映画制作現場

2007年、スイスには映画制作会社73社が存在し、製作資金の調達と映画への投資の運営を主要業務としていた。
それらの制作会社の多くが中小企業で、昨年は大作の共同制作やドキュメンタリーの小作品の制作など、47社がそれぞれ1つのプロジェクトを手掛けた。
2007年に連邦内務省文化局 ( BAK/OFC ) が27のプロジェクトを対象に、7社のみに100万フラン ( 約8059万円 ) の補助金を提供した。同局は映画制作のために年間2000万フラン ( 約1億6118万円 ) の援助をしており、そのうち半分は映画興行会社「アート・ハウス・プロダクション ( Art House Productions ) 」に提供される。

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