スイス国立銀行(中央銀行、SNB)の昨年の利益は209億フラン(約2兆3900億円)で、前年の489億フランに比べ半分以下となった。
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連邦財務省とSNBの取り決めに基づき、60億フランは配当として連邦政府と州に配分される。前年の配当金は40億フランだった。2016~20年の取り決めでは、配当準備金に繰り入れがある場合は10億フラン以上を配当金として州と政府に分配する。
またSNBは株主への配当として法定上限の1株15フランを提示。これについても安定している。
パンデミック効果
昨年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)下で、スイスが保有する外貨・金の価値は上昇した。投資家のリスク回避傾向が高まったほか、低金利が株高を後押ししたためだ。
SNBの保有外貨からの利益は133億フランだった(前年は403億フラン)。また昨年12月31日の時点で、金の価格は1キログラム当たり5万3603フラン(前年は4万7222フラン)となった。SNBが保有する金は1040トンと横ばいだが、昨年時点で価値は66億フラン増加した。
SNBの使命は利益の追求ではなく、スイス経済全体を支え、同時に価格の安定を目指すことにある。SNBはその一環で、地政学的な不確実性が生じた場合に投資の退避先となるフランの上昇を抑えるため、対策を取ってきた。だがフランの強さは輸出依存型の経済を圧迫している。
昨年、パンデミックへの懸念で投資家の資金が安全通貨のフランに集まり、SNBはフラン上昇を抑えるため外為市場への介入を余儀なくされた。これにより昨年の為替差損は377億フランに達した。これを受けて米トランプ政権はスイスを為替操作国と公に非難したが、SNBは真実ではないと反発した。
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