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倒産の2009年

世界的な経済危機のあおりで、2009年の倒産件数は史上最高を記録した Keystone

2009年はこれまでにないほど倒産が多い年だった。商業登記簿に載せられていた5105企業が倒産し、前年比26.7%の増加となった。

昨年前期は貿易会社や金融機関の倒産が多かったのに対し、後期は手工業や小売業者の倒産が目立った。
 

経済危機の余波

 調査を行った経済リサーチ会社「ダン・アンド・ブラッドストリート ( D&B ) 」社は
「昨年は、世界に広がった経済危機がスイス経済を支配した」
 と報告している。

 同社の統計によると、昨年12月だけでも558の企業が倒産した。これは過去10年間で最高の月別倒産件数だ。理由として、年初に委託や注文が減少した企業が年末までに蓄えをすべて使い切ってしまったことが挙げられている。また、銀行や納入業者の融資が受け取りにくくなった上、年末になると借入金の返済を強く迫られることも要因となった。

 倒産が最も増加したのはアッペンツェル・アウサーローデン準州で、2008年の22件から55件に急増、150%の増加率となった。しかし、これには会社法が改正されたことも大きく関わっているという。

 低い税率で企業に人気があるツーク州やニトヴァルデン準州も、増加率がそれぞれ76.4%および73.9%と倒産件数の増加を免れなかった。これらの州の経済は貿易や金融などの産業に大きく頼っていることがその理由として挙げられている。倒産件数が最も多かったのはチューリヒ州の850件で、増加率は29.2%だった。

 一方、ルツェルン州では倒産件数が減少し、169件だった。減少率は12.9%。これは特に、観光業と中小企業が隙間産業を見つけて経済危機から逃れることができたためだ。

 トゥールガウ州も126件と昨年比4.5%の減、またバーゼルラント準州とベルン州の倒産件数もわずかな増加率にとどまった。ベルンでは地元産業が安定していたため、バーゼルラントでは化学・薬品産業が経済を支えたとみられている。

会社設立も減少

 昨年は新会社の設立件数も減少したが、合計3万5380件で前年と比べてもわずか4.3%のマイナスに抑えられた。D&Bは「会社設立の状況は損なわれていない」と判断する。

 会社設立に関しても地域差は大きい。ヴァレー/ヴァリス州では前年比3.3%増の1547社が新たに設立された一方、ニトヴァルデン準州では222社とマイナス17.5%となった。オプヴァルデン準州、ツーク州でもそれぞれマイナス12.4%およびマイナス13.9%と、会社設立の減少が見られた。

 これらの州では好景気中、平均以上に多くの会社が設立されていた。そのためD&Bは
「これらの州が最初に、また最も強く経済危機の影響を受けたことは驚くにあたらない」
 とコメントしている。

swissinfo.ch、外電

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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