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スイスのメディアが報じた日本のニュース

ヒト型ロボット
世界中が人工知能(AI)の未来に注目しており、スイスもその例外ではない。写真は2023年7月にジュネーブで開催された「AI for Good Global Summit」で撮影 Keystone/Martial Trezzin

今週(9月29日〜10月5日)スイスの主要報道機関が伝えた日本関連のニュースから3件をピックアップ。要約して紹介します。

「AI製の日本版ハリポタ」「日銀短観が2四半期連続改善」「125年ぶりの猛暑」「円安で介入疑惑」「『目を覚ませ、日本』ソフトバンク孫正義氏が講演」「北海道滝川市のオオカミ型ロボット」「光をテーマにした建築家 永山祐子」「福島原発の処理水放出第2弾」「伊豆諸島で地震・津波警報」―といったトピックスが取り上げられました。

この中から今回は「『目を覚ませ、日本』ソフトバンク孫正義氏が講演」「光をテーマにした建築家 永山祐子」「AI製の日本版ハリポタ」をご紹介します。

「AIは10年以内に人間の能力を超える」 

ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が4日、東京都内で開かれた法人顧客向けイベント「ソフトバンクワールド2023」で人工知能(AI)の可能性について講演しました。

ドイツ語圏の日刊紙NZZは、東アジア特派員の講演取材記事を掲載。「世界最大のハイテク投資家」である孫氏が昨年の赤字決算を機に表舞台から遠ざかり「1年以上守勢に回った後、投資家兼実行者として戻ってきた」と報じました。「現在66歳の日本の起業家であり伝説的な投資家である孫氏は、大舞台から1年離れた今でも熱意を少しも失っていない」

孫氏はAIが人間の知能を超える「汎用人工知能(AGI)」が10年以内に実現すると熱弁。でもNZZは「この新しい夢の世界がどのようなものであるべきか、正確に言うことはできなかった。自由や自由な意思決定についても語らなかった」と指摘しました。(出典:NZZ外部リンク/独語)

光の先駆者 建築家の永山祐子さん

「東京の超高層ビル設計を手がけた初の女性建築家」。フランス語圏の日刊紙ル・タンは9月29日付の記事で、日本人建築家の永山祐子さんとその作品を紹介しました。

生物物理学者の父が連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)で研究するため、一家は永山さんが1歳になる前にチューリヒに引っ越しました。永山さんはル・タンの取材に「あまりはっきりとした記憶はないのですが、山の険しい側面は私に大きな影響を与えました」と話しています。

669個の電球をつるした玉川高島屋S・C本館グランパティオ外部リンクや、波の形に光を反射する東急歌舞伎町タワー外部リンクを紹介。後者については永山さんが東京の超高層ビルの美的デザインを担当した最初の女性であり、「『通常は少しマッチョな』(永山さん)このタイプの建築物に、軽さと風通しの良さをもたらす手法」と説明しました。(出典:ル・タン外部リンク/仏語)

Yakuzaになったハリー・ポッター

人気映画「ハリー・ポッター」の舞台が日本だったら…?オンラインニュースサイトwatson.chフランス語版は、ベルリン在住のアーティストDemonflyingfoxが米画像生成AIミッドジャーニー(Midjourney)を使って作成した動画を紹介しました。

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watson.chのSainath Bovay記者は「私たちは、この日本の文脈の中で作家J・K・ローリングが生み出したキャラクターをすぐ認識できることに、ある種の喜びを感じる」と評価。オリジナル版の魔法や中世の世界観とは一線を画し、ダークで現実的なアプローチを取り入れた日本版「ハリポタ」は、「日本のマフィアのおきてを取り入れたレトロ風の世界に浸れる」と絶賛しました。

記者はクリエイティブ界全般におけるAI活用に話題を移し、動画生成AIそのものについては「静止画像ほどの成功はまだ収めていない」と指摘しました。ただそうしたノウハウや経験がまだ十分に蓄積されていないとはいえ、「AIによって多くの人が創造的なプロセスにアクセスできるようになったのは事実。テクノロジーの進化への不安が叫ばれるが、この点は良い面だ」とし、最後に「ハリー・ポッターinスイス」を想像したい、と結びました。(出典:watson.ch外部リンク/仏語)

今週のスイスのニュース

今週最も注目されたスイスのニュースは「スイス政府、対中制裁に追随しなことを秘密裏に決定」(記事/日本語)です。他に「スイスで『オレオレ詐欺』急増」(記事/日本語)や「スイスのカトリック教会、性的虐待スキャンダルで離脱者急増」(記事/英語)が良く読まれました。

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次回の「スイスのメディアが報じた日本のニュース」は10月13日(金)に掲載する予定です。

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編集:宇田薫

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