食品最大手ネスレが本社を構えるヴヴェイのレマン湖。グリーンピースの活動家らは、水中や砂浜で回収されたプラスチックごみで作ったモンスターを掲げ、企業に行動を求めた。2019年撮影
© Keystone / Laurent Gillieron
環境団体(Break Free from Plastic外部リンク)が行った「プラスチック汚染企業」調査で、スイスの食品世界最大手ネスレ(本社・ヴヴェイ)が、世界をプラスチックで汚染する企業ランキング3位に入った。
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同調査によると、世界3大プラスチック汚染企業はコカ・コーラ、ペプシコ、そしてネスレ。ネスレは例年ワースト上位に名を連ねる。
調査に参加した国際環境NGOのグリーンピースは15日の声明外部リンクで、プラスチック問題に対処するためには、民間企業の自主的な取り組みだけでは不十分だとし、世界的なプラスチック協定の必要性を訴えた。
スイスの通信社Keystone-SDAの取材に対し、ネスレは2019~21年の間にプラスチック包装を重量で35%削減したと声明で回答。プラスチックを削減するもう1つの取り組みである再利用や詰め替え可能な容器にも触れ、12カ国で20件の試験的なプロジェクトを実施しているとした。ただし更なる取り組みへの必要性も認識していると述べた。
ネスレによると、2021年末までにプラスチック包装の8割をリサイクル可能にするよう、デザインを刷新中だ。最終的にはリサイクル率100%を目指すという。また、現在、リサイクルインフラの欠如がごみのない未来への主な障害となっていると指摘。国連のプラスチックの国際条約発足に向け、尽力していると述べた。
「ごみの記念日」
世界中の活動家らは15日、企業の無策に対する抗議として「ごみの日」5周年を祝った。プラスチック汚染に名を連ねる企業に対し、企業自身が流通させたごみを送り返したり手渡したりして、早急な対処を求めた。
5年連続で行われた「プラスチック汚染企業」の2022年調査には、世界6大陸の44カ国で1万4760人のボランティアが協力し、約43万個のプラスチックごみが記録された。メーカーを確認できたごみを集計した結果、1位は5年連続でコカ・コーラだった。2位にペプシコ、3位にネスレが続く。
また、コカ・コーラは、気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)のメインスポンサーを務めていることでも批判を浴びている。
英語からの翻訳:シュミット一恵
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