ILOグローバルサミット開催 労働者の社会的保護を

第108回 国際労働機関100周年記念総会で演説をするガイ・ライダー事務局長 © Keystone / Laurent Gillieron

新型コロナウイルスの世界的な大流行による雇用情勢の悪化で、不当な解雇や雇止め、就労は男女に不平等が見られ、さらなる企業のデジタル化やテレワーク導入といった新しい働き方のための国際的な取り決めの欠如などが浮き彫りになった。そんな中、国際労働機関(ILO、本部・ジュネーブ)はグローバルサミットを7~9日に開催。加盟国に仕事の未来に向けた「ILO100周年記念宣言」の迅速な実践を促す。また、スイス大統領は、社会の変化を先読みするための新プラットフォームをジュネーブに設立する意向を表明した。

このコンテンツは 2020/07/08 16:38

新型コロナの感染拡大を防ぐロックダウン(都市封鎖)措置によって、最も弱く不利な立場にある労働者が深刻な影響を受けた。多くの女性が働く保健医療、教育、販売、サービス業といった職務は不利益を受け、若者の就職や仕事継続の展望も急に暗くなった。また、操業短縮や失業に追い込まれ、生活に困窮する移民労働者が急増。製造業や飲食業を経営する企業は事業が不確実で、とりわけ中小企業は深刻な事態に直面している。コロナ禍から抜け「新たな常態」に向けた課題は大きく、労働者のための社会的保護への迅速な取り組みや就労形態の多様化が求められ、世界各国の労働条件の改善が急務となっている。

ILOモニターによると、2020年4~6月には、コロナの影響による職場閉鎖で、世界の労働時間は前年の同時期に比べ10.7%減少。3億500万人分の雇用の喪失に相当する。また、若者への影響が他の年齢層に比べて大きく、6人に1人以上が失業した。そのうえ若者の50%が、職業訓練や教育の修了に遅れがでる可能性があると報告されている。

先進国スイスも例外ではない。スイス連邦経済省経済管轄庁(SECO)のデータによると、2020年6月に失業手当を申請した人は15万289人で、前年比54%増加。そのうち15~24歳の若者は1万7317人で、77.4%増えた。失業率は3.2%だ(昨年同月は2.1%)。

7日から3日間、政府、雇用主、労働者の3者代表で構成されるILOが、オンラインで「新型コロナウイルスと仕事の世界」と題するグローバルサミットを開催している。187の加盟国代表、50カ国の首脳を含め、275人が参加する。サミット開催2日目のグローバル・リーダーの日に、ILOのガイ・ライダー事務局長は講演で、「労働の世界は...未曾有の危機に陥っている」と警告。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「健康か雇用か経済の選択ではない。これらは相互にリンクしており、すべての面で成功するかすべての面で失敗するかのどちらかだ」と発言した。

サミットでは、労働における権利が保護され、十分な収入を生み、適切な社会保護が供与された生産的仕事、つまり働きがいのある人間らしい仕事「ディーセント・ワーク」を実現していく取り組みとして、昨年6月に採択した未来100年に向けた「ILO100周年記念宣言」の実践による労働状況の立て直しが強調されている。

ILOが提唱する国の対応政策

ILOは国際労働基準を基礎とし、コロナによるビジネスへの影響を緩和するための4つの柱による対応政策を提案している。

柱1 経済・雇用の刺激

  • 積極的財政政策
  • 順応型金融政策
  • 保健部門を含む特定産業部門に対する貸出・金融支援

柱2 企業、雇用、収入の支援

  • 社会的保護を全ての人に拡大
  • 雇用維持策の実施
  • 企業に対する金融・税務その他の救済の提供

柱3 職場における労働者の保護

  • 労働安全衛生措置の強化
  • 例えばテレワークなどを通じた就業取り決めの適応
  • 差別と排除の防止
  • 保健医療を受ける機会を全ての人に提供
  • 有給休暇の機会拡大

柱4 社会対話に頼った解決策探求

  • 労使団体の能力と強靱性の強化
  • 政府の能力強化
  • 社会対話、団体交渉、労働関係に関わる制度・機構及び手続きの強化

出所:ILO、国の対応政策

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グローバルサミットの演説で、スイスのソマルーガ大統領は、すべての人への社会的保護ネットの投資、社会的対話の重要さを強調。また、社会の変化を先読みする新しいプラットフォームThinking ahead on societal changes (TASC)をジュネーブに構築し、政府、国際機関、民間部門、団体、市民社会の専門知識を結集するとの意向を示した。TASCは、ジュネーブ国際開発高等研究所の貿易経済統合%)。


7日から3日間、政府、雇用主、労働者の3者代表で構成されるILOが、オンラインで「新型コロナウイルスと仕事の世界」と題するグローバルサミットを開催している。187の加盟国代表、50カ国の首脳を含め、275人が参加する。サミット開催2日目のグローバル・リーダーの日に、ILOのガイ・ライダー事務局長は講演で、「労働の世界は...未曾有の危機に陥っている」と警告。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「健康か雇用か経済の選択ではない。これらは相互にリンクしており、すべての面で成功するかすべての面で失敗するかのどちらかだ」と発言した。


サミットでは、労働における権利が保護され、十分な収入を生み、適切な社会保護が供与された生産的仕事、つまり働きがいのある人間らしい仕事「ディーセント・ワーク」を実現していく取り組みとして、昨年6月に採択した未来100年に向けた「ILO100周年記念宣言」の実践による労働状況の立て直しが強調されている。


ILOが提唱する国の対応政策


ILOは国際労働基準を基礎とし、コロナによるビジネスへの影響を緩和するための4つの柱による対応政策を提案している。


柱1 経済・雇用の刺激


積極的財政政策

順応型金融政策

保健部門を含む特定産業部門に対する貸出・金融支援

柱2 企業、雇用、収入の支援


社会的保護を全ての人に拡大

雇用維持策の実施

企業に対する金融・税務その他の救済の提供

柱3 職場における労働者の保護


労働安全衛生措置の強化

例えばテレワークなどを通じた就業取り決めの適応

差別と排除の防止

保健医療を受ける機会を全ての人に提供

有給休暇の機会拡大

柱4 社会対話に頼った解決策探求


労使団体の能力と強靱性の強化

政府の能力強化

社会対話、団体交渉、労働関係に関わる制度・機構及び手続きの強化

出所:ILO、国の対応政策


グローバルサミットの演説で、スイスのソマルーガ大統領は、すべての人への社会的保護ネットの投資、社会的対話の重要さを強調。また、社会の変化を先読みする新しいプラットフォームThinking ahead on societal changes (TASC)をジュネーブに構築し、政府、国際機関、民間部門、団体、市民社会の専門知識を結集するとの意向を示した。TASCは今秋、ジュネーブ国際開発高等研究所の貿易経済統合センター内に創設される予定。ディレクターは、持続可能な開発のための世界経済人会議  (WBCSD)のキトローナ・セリ氏が就任する見込み。

▲ILOグローバルサミット2日目、スイス大統領のスピーチ(仏語)

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