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UBSの名誉回復は「行動にかかっている」



UBSのキャンペーンの特徴は著名な人々と出来事が登場することだ

UBSのキャンペーンの特徴は著名な人々と出来事が登場することだ

近ごろUBS銀行は、宣伝、旧体制の刷新、イベントのスポンサー活動などを通して、大幅に損なわれた対面を回復しようと努力しているが、その動向には期待と懐疑の目が向けられている。

UBSは、積極的な宣伝攻勢を使って最近の運気上昇を大いに活用したいと期待している。しかし、耳触りのよい宣伝キャンペーンの成否は、その裏に何があるのかによって決まる。

復活への意気込み

 過去2年の間にUBSでは500億ドル ( 約4兆2930億円 ) 以上の不良債権が償却され、富裕層の顧客が約2000億フラン ( 約16兆9100億円 ) の資産を引き上げた。その結果UBSの名誉は著しく失墜した。

 さらにアメリカとの租税回避問題の摩擦が加わり、UBSの名は泥まみれになった。これは銀行機密の守秘義務の譲歩を強いられたスイスにおいてことさらだった。

 しかし今年UBSは収益を回復し、アメリカとの問題の解決にこぎつけた。そしてこれはUBSが新たなメッセージを発信する火付け役となった。

 過去数カ月間の謝罪と屈辱は、真剣で自信にあふれたメッセージに置き換えられた。UBSは、世界一の銀行として「再び」認められるようになるまで「われわれはこのままでは終わらない( We Will Not Rest ) 」というメッセージを送っている。

有名人

 「この宣伝は、UBSが信用回復のために懸命に努力していることをうまく伝え、まさに的を射たものです。大げさではなく謙虚なメッセージで、適切なトーンをうまく選んだと思います」
 とスイスの銀行業界の専門家テオドロ・コッカ氏は分析する。

 UBSは、世界初のエベレスト登頂を果たしたニュージーランド人登山家のエドモンド・ヒラリー卿、アメリカ人元プロボクサーのモハメッド・アリ、月面歩行をした初の人類でアメリカ人宇宙飛行士のニール・アームストロング、アメリカ人俳優スティーブ・マックイーンなどの有名人を配した宣伝キャンペーン通してアグレッシブにこのメッセージを伝えた。

 消費景気の回復を受け、UBSはキャンペーンを強化し、小口取引の支店の改装を行った。そしてその後すぐに華やかなカーレース「フォーミュラ・ワン」の大口スポンサー契約を結んだ。

 この宣伝キャンペーンによって、長い間忍耐を重ねていた社員はいくらか励まされたとUBSの「社員代表委員会」のメンバー、トマス・アルブレヒト氏は言う。同委員会は、UBSの現場で働く社員と経営陣の間を仲介する組織だ。

 「一般的に社員の反応は非常に好意的でした。彼らはどちらの方向へ行けばよいのか指示をしてくれる強いリーダーシップの統率と合図を待っていたのです。銀行が危機に直面していた間、社員はほとんど休んでいませんでした。このメッセージは、彼らが暗闇から抜け出して、通常の業務に戻る機会を与えてくれたのです」

口先ではなく行動で

 UBSの広報部が打ち出した対策が、現在と未来の顧客に対して大きな影響を及ぼすと誰もが信じているわけではない。

 「問題を抱えている銀行がどれであろうとも、その問題の解決方法を伝えることはできません。ブランドを確立するのは、顧客とのコミュニケーションではありません。顧客が店内に足を踏み入れ、銀行のアドバイザーに会い、話をしたときに、銀行が顧客の期待に対していかに対応したかという行動の上に構築されるのです」
 とチューリヒに基盤を置く「WATCコンサルティング・ビルディング社 ( WATC Consulting Building ) 」のブランドについての専門家ヤン・ニーホルム氏は語った。

 「金融危機によって顧客のブランド志向は弱まり、銀行との取引関係にもっと焦点を合わせるようになりました。顧客は、銀行が手数料の削減、サービスや業績の向上など別の面にも力を入れているという証拠を求めるようになるでしょう」
 とニーホルム氏は付け加えた。

 またテオドロ・コッカ氏も、もし世界中に発信したメッセージを真剣に捉えてもらいたいならば、それが具体的な対策で裏打ちされていなければならないと同意した。
 「キャンペーンの成功は、UBSが毎日の業務を通して顧客にそのメッセージを伝えられるかどうか、UBSのコミュニケーション能力にかかっています。これは、UBSの信用を決定する戦略的な問題です」

悪い点数

 時として営業の宣伝は内容に欠ける傾向があることを証明するかのように、UBSのライバル銀行「ヒポスイス ( Hyposwiss ) 」が、キャンペーンを開始した。チューリヒに基盤を置くヒポスイスは、UBSがブランド構築のために使用した昔のメッセージ「You & Us ( あなたと私たち ) 」を攻撃している。

 「絶対にあなたと私たちについてではありません。常にあなたのお金についてです」
と謳 (うた ) われたヒポスイスのメッセージは、明らかに近年のUBSのイメージの低下を揶揄 ( やゆ ) している。

 ブランドの再構築を試みるUBSにはまだ着手すべき問題が山ほどあると国際的な調査会社「レピュテーション・インスティテュート ( Reputation Institute ) 」は指摘する。同社は、金融機関が世論調査でよい結果を出すことはめったにないが、UBSは景気の好調時にも高評価を得たことが一回もないと指摘する。

 同社の世論調査で回答を求められた人々は、商品、管理、社会の一員としての企業の責任と義務、業績、職場、新しいアイデアなどについて、100点を満点として採点した。80点以上が優秀、60~69点,が平均となっているが、UBSは2006年から2007年の好調時でも50点を上回っただけだった。そして今年年初に行われた調査では、UBSの評判についての点数は23点に急落した。

 このような学問的な調査がUBSに必要以上の影響を及ぼすことはないだろうが、UBSは大きなコストのかかったキャンペーンの効果をつぶさに観察している。キャンペーンの結果は、得点表ではなく新たに獲得した顧客の数と資金の量によって決まる。

UBS銀行の問題の経緯

サブプライム問題によってヨーロッパで最大の打撃を受けたUBS銀行は、2007年末から2009年末の間に約500億ドル ( 約4兆2930億円 ) の負債を償却した。
2008年には210億フラン ( 約1兆7760億円 ) の損失を計上し、創業以来最悪の年となった。
翌年、アメリカ人顧客の脱税をほう助したと認めた結果、巨額の罰金を支払い、スイスの銀行守秘義務に反しても多数の顧客の情報をアメリカに開示するよう要求された。
富裕層の個人・法人顧客からの信用を失い、2008年と2009年には約2000億フラン( 約16兆9100億円 ) の純資産が流出した。
2009年末の収支は24.7億フラン ( 約2090億円) という巨額の赤字を計上したが、第2~第4四半期には回復の兆候が現れた。第4四半期には約12億フラン ( 約1015億 円 ) の利益を計上した。
2010年には、第1四半期に約22億フラン ( 約1860 億円 ) 、第2四半期には約20億フラン ( 約1690億円) の利益を計上と、上半期にはさらに回復する兆しが見えた。資産運用部門からの純資金の流出は年初以来著しく低下した。
6月に議会はついに米国との取引を批准し、これによってUBSが顧客情報の開示による銀行守秘義務の侵害で告訴されることはなくなった。

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UBS銀行のブランド戦略

UBS銀行は、1998年に「スイス・ユニオン銀行 ( The Union Bank of Switzerland ) 」と「スイス銀行コーポレーション ( The Swiss Bank Corporation ) 」が合併して設立された。
UBS銀行のロゴマークは合併設立以来、現在も「信頼 」、「安全」、「思慮」
を意味する3本の鍵を交差させたもの。
2003年に「 One UBS 」のメッセージの宣伝を打ち出し、各種業務がより密接になるよう統合された。
1年後に「You & Us」と題したメッセージでブランド確立のための世界的な宣伝キャンペーンを開始した。
金融危機の発生と信用の失墜によって、今年8月「You & Us 」のメッセージは新しいメッセージの「We Will Not Rest」に刷新された。

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( 英語からの翻訳 笠原浩美 ), swissinfo.ch


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