チューリヒ~ベルン間を走った新型車両
Keystone
スイス連邦鉄道(SBB)の新しい二階建て車両「FV-Dosto」の運行が、数年の遅れを経て26日、始まった。SBBはこの新型車両を62編成購入したが、障害者団体が「バリアフリーへの配慮がない」などとして訴訟を起こしたため、残りがいつお目見えするかは裁判所の決定次第となりそうだ。
このコンテンツが公開されたのは、
新型車両はこの日、チューリヒ~ベルン間(片道約1時間)を往復。SBBの広報担当クリスティアン・ギンジック氏はスイス通信に対し「遅延なく全てがスムーズに行った」と話した。FV – Dostoは今後もこの路線を走る。SBBの公式サイト外部リンクによるとFV-Dostoは車両の増結・切り離しが容易で、混雑時は座席数を現行より1割多い1300席まで増やせることなどが利点。
製造はカナダ輸送用機器大手ボンバルディア。SBBが発注したのは2010年だが、輸送上の問題やソフトウェアのトラブルに加え、障害者団体が1月に訴訟を起こしたため、運用開始が遅れていた。訴訟を起こしたのはインクルージョン・ハンディキャップ外部リンクと呼ばれるスイスの団体。訴えでは、乗降口とプラットフォームの段差が急すぎて車椅子利用者が一人で乗り降りできず、障害者が自立して公共交通機関を利用できる環境作りを規定した法律(04年施行)に違反していると主張している。
乗り降りの不便さ
連邦行政裁判所は今月、すでにボンバルディア社から届いている6本については運行を認めるとの決定を出した。インクルージョン・ハンディキャップはこの決定に同意したものの、障害者が同伴者なしで新型車両を利用する場合の問題が多すぎるとし、法律が定める基準を満たしていないとした。
裁判所はこの仮決定で製造中の車両には言及しておらず、SBBは裁判所の最終的な決定が下りるまで、対象の新型車両を使用出来ない。
計62本の購入費は19億フラン(約2180億円)で、SBBでは過去最高額。SBBは現行車両の刷新に年間10億フランを投じるとしていた。
おすすめの記事
スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
このコンテンツが公開されたのは、
米国がスイスに課す39%の「相互関税」をめぐり、スイス政府は4日、米国との協議を続け「より魅力的な提案をする」と表明した。
もっと読む スイス政府、相互関税で米国との協議継続を表明
おすすめの記事
トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
このコンテンツが公開されたのは、
米国はスイスに課す相互関税率を39%と発表。スイス政府は「大変遺憾に思う」と表明した。
もっと読む トランプ政権、スイスに39%の相互関税を発表
おすすめの記事
スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。
もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
おすすめの記事
温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。
もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
おすすめの記事
アルプスに新しい巨大地上絵が登場
このコンテンツが公開されたのは、
世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。
もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
おすすめの記事
スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。
もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
おすすめの記事
欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
このコンテンツが公開されたのは、
欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。
もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
おすすめの記事
スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
このコンテンツが公開されたのは、
抗生物質の開発に特化するスイスの新興バイオ企業ビオヴェルシス(BioVersys)は2日、日本の塩野義製薬と共同研究・独占ライセンス契約を結んだと発表した。
もっと読む スイスの抗生物質開発企業、塩野義と研究・ライセンス契約を締結
おすすめの記事
スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。
もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も
おすすめの記事
スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
このコンテンツが公開されたのは、
米宇宙企業SpaceX(スペースX)が運営する通信衛星「Starlink(スターリンク)」のアンテナ40基をスイス南部の村に設置する計画に対し、反対する声が上がっている。
もっと読む スターリンクの衛星アンテナ設置に反対運動 スイス南部
続きを読む
おすすめの記事
スイス全国の駅 障害者平等法適応へ
このコンテンツが公開されたのは、
2023年末までにスイス全土の約580カ所でスイス鉄道の駅が改装される。駅の設備を近代化し、障害者が容易にアクセスできるようにするのが目的。その費用は30億フラン(約3239億円)以上が見込まれ、23年以降も引き続き別の100カ所の駅が改装される。
もっと読む スイス全国の駅 障害者平等法適応へ
おすすめの記事
SBB新型車両 車椅子用スロープ設置はわずか一つ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの連邦行政裁判所は、スイス連邦鉄道(SBB)の新しい二階建て車両「FV-Dosto」に車椅子用のスロープ板を少なくとも一つ設置するよう義務付けた。
もっと読む SBB新型車両 車椅子用スロープ設置はわずか一つ
おすすめの記事
スイスで格安長距離路線バスが誕生へ 3月から、国内3路線
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省交通局は19日、ドーモ旅行社(Domo Reisen、本社チューリヒ州グラットブルック)に対し、国内初となる格安長距離路線バスの運行を認可したと発表した。国内3路線を走る。
もっと読む スイスで格安長距離路線バスが誕生へ 3月から、国内3路線
おすすめの記事
大銀行の圧力と闘うスイスのスタートアップ企業たち
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大銀行は、世界中で注目の高まる仮想通貨の取り込みに背を向ける。新しい金融体系を生み出そうとするスタートアップ企業の取り組みの邪魔さえしようとする。
もっと読む 大銀行の圧力と闘うスイスのスタートアップ企業たち
おすすめの記事
交通
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは、電車やバス、路面電車が全土を広く網羅し、車がなくてもスイスを回ることが出来る。
もっと読む 交通
おすすめの記事
無賃乗車、全国共通ブラックリストに
このコンテンツが公開されたのは、
2019年4月以降、有効な乗車券を持たずにスイスの公共交通機関を利用した人は、全国・全交通手段をカバーする違法乗客リストに載せられることになる。厳しく罰金を科し、違法乗車を減らす狙いがある。
もっと読む 無賃乗車、全国共通ブラックリストに
おすすめの記事
アスリートのキャリア問題 スイスで新しい試み
このコンテンツが公開されたのは、
平昌(ピョンチャン)五輪が9日、韓国で開幕し、スイスからは史上最多の171選手が出場した。だが、スポーツだけで食べていける選手はほんの一握り。そうでない選手たちは、両立が可能な仕事、トレーニングや遠征に理解のある勤め先が必要だ。そんなアスリートに優しい会社はどこだろうか。
もっと読む アスリートのキャリア問題 スイスで新しい試み
おすすめの記事
スイスの鉄道、国内の一部駅で構内禁煙を試行
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)は1日から一部の主要駅で、構内の禁煙を試験的に始めた。期間は1年間。SBBは将来的に、全ての駅を禁煙にする計画を進めている。
もっと読む スイスの鉄道、国内の一部駅で構内禁煙を試行
おすすめの記事
スイスの列車、節電のため車内の室温2度引き下げへ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦鉄道(SBB)が9日、省エネ策としてチューリヒ地域を走る一部車両の室温を現行の22度から20度に引き下げる試みを始めた。実施期間は来月9日までで、SBBのウェブサイト上で乗客の意見を募る。
もっと読む スイスの列車、節電のため車内の室温2度引き下げへ
おすすめの記事
突風のためスイスで列車の脱線事故
このコンテンツが公開されたのは、
3日、スイスでは、多くの地方が冬の嵐「ブルクリント」に見舞われ、列車の脱線事故、道路の通行止め、飛行機の欠航などの混乱が起きた。
もっと読む 突風のためスイスで列車の脱線事故
おすすめの記事
ゴッタルドベーストンネル 乗客数が3割増
このコンテンツが公開されたのは、
ゴッタルドベーストンネルの運用開始から丸1年。全長57キロメートルを誇る世界最長の鉄道トンネルのおかげで、アルプス南北を結ぶルートを利用する乗客数や物流量は大幅に増加した。また、ドイツとイタリアは更に近くなった。
もっと読む ゴッタルドベーストンネル 乗客数が3割増
おすすめの記事
ベッツベルクトンネル、世界最大級の掘削機でついに貫通
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北東部・アールガウ州に2020年に開通予定のベッツベルク(Bözberg)トンネルが先月29日、着工から8ヶ月でついに反対側へ貫通した。直径12.36メートルの掘削機で一日22メートル掘り進んだ。
もっと読む ベッツベルクトンネル、世界最大級の掘削機でついに貫通
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。