感動であふれるメンドリージオの復活祭
















神聖さと世俗さを併せ持ち、芸術と伝統が一つに溶け合う姿。メンドリージオで何百年も受け継がれてきた伝統的な復活祭の行列は、聖週間に数多く行われる他の行事とは何かが違う。祭りが毎年感動であふれていることは参加者たちを見れば分かる。特に「イエス」の役をめぐる彼らの思いはひとしおだ。

フォトエディターとして、SWI swissinfo.chでの写真の編集利用と写真家とのコラボレーションを担当。機会があれば、カメラを持って記者に同行する。 チューリヒで写真家として訓練を受け、1989年からフォトジャーナリストとして活動。1990年にスイスの写真家エージェンシー、ルックアット・フォトスを設立。ワールド・プレス・アワードを2度受賞し、スイスの奨学金制度も利用。作品は広く展示され、様々なコレクションに収蔵されている。
-
Deutschde“Mein Leben hat sich verändert”, gesteht “Jesus”もっと読む “Mein Leben hat sich verändert”, gesteht “Jesus”
-
РусскийruИисус из Мендризио: пасхальные традиции Швейцарииもっと読む Иисус из Мендризио: пасхальные традиции Швейцарии
メンドリージオの伝統行事である復活祭の行列は、ユネスコ無形文化遺産への登録が推薦されている。この受難劇に魅了され、はるばる外国からこの地を訪れる人も増えてきている。だが地元の人々にとってこの一大イベントは見て楽しむだけではなく、積極的に参加するものだ。
「メンドリージオで生まれ育った人は皆、復活祭の行列に参加するのは当たり前だと思っている。大役をもらおうと小さい頃から一生懸命だ。やがて大人になると行列は真剣なものになってくる。色々な役割を演じるうちに、いつかふとイエスの役をやってみたいという気持ちになる」。イエス・キリストを演じるファビオ・クローチさんは、教会の祭具室でイエスの衣装を身にまといメークをしながらそう答えた。これからイエスとして刑場までの苦難の道を歩く。
「キリストの役作りをしながら、色々なことを考えた。私の人生は変わったと思う。以前より感受性が強くなった。これからもこの気持ちを忘れないでいたい」
受難劇の準備をする他の人たちも同じような体験をしている。次第に緊張感が高まる中、3人のマリア役やベロニカ役がマニキュアをしていないかなど、細部のチェックが行われる。「2千年前の姿を忠実に再現しなくてはならない」とジモーネ・フォン・キュレネさんは説明する。「演技中に笑ってしまわないといいのだけれど」とカップを手にした少年が不安そうに言った。少し緊張しているという。
そして開幕の時間になった。突然、辺りは静まり返り、祭具室の扉が開いた。祭具室を後にした人々は次第に連なり、行列となって闇の魔法の中へと消えていった。中世から続くとされる伝統は、こうして後世に受け継がれていく。
(写真・Thomas Kern, swissinfo.ch、文・Sonia Fenazzi, swissinfo.ch、撮影日2014年4月17日)
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。