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2020年11月のスイス国民投票

スイス金融機関が核兵器に9千億円投資 その言い分は

La façade de la Banque nationale suisse
スイス中銀も核兵器メーカーに投資している © Keystone / Gaetan Bally

スイスの中央銀行や大手銀行は9千億円超を世界の軍需企業に投資している。この状況に終止符を打つべきかどうか、11月29日の国民投票でスイス有権者が選択する。

2017~18年の間、核兵器を製造する企業にスイスの大金融機関が投資した額はおよそ90億ドル(約9450億円)―この数字はオランダの非政府組織(NGO)PAX外部リンクが核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)と共同で2019年6月に発表した報告書外部リンク「Don’t bank on the bombs(核兵器にお金を貸すな)」で明らかになった。

この「未完の」報告書によると(調査手法は下段参照)、世界で最も大きい核兵器企業への投資9件がスイスの金融機関UBS、クレディ・スイス、スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、ウェルスマネジメントのフィッシュ・アセット・マネジメントの4行によるものだった。

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PAX・ICANがまとめた「Don’t bank on the bombs(核兵器にお金を貸すな)」は、大手兵器メーカー上位18社に投資する世界の金融機関に関する報告書。兵器製造によって利益を得ている企業は、全売上に占める割合に関わらず「核兵器メーカー」と定義する。

調査対象は兵器メーカーに実体的に投資(上場企業の発行する有価証券の0.5%以上)する金融機関。公開されている公式情報だけを基にしたという。

だが報告書は「このテーマに関する情報は明らかに不足している」と指摘。報告書内で示された数値は、兵器業界への「世界の投資総額を保守的に見積もったもの」に過ぎないとする。

11月29日、スイス有権者は「軍需産業への融資禁止イニシアチブ(国民発議)外部リンク」を国民投票にかける。

このイニシアチブは、SNBや各種財団、年金基金などに対し、核兵器以外も含む国際的兵器メーカーへのあらゆる形式の投融資を禁止することを求める。

兵器メーカーへの融資だけでなく、その企業に関連する株や金融商品への投資も禁止する案だ。金融機関に直接制限をかけるのではなく、連邦政府に監視義務を課す。

2013年に発効した軍需品法は、国際的に禁止された軍需品の開発、製造、販売への直接投資を禁止する。

具体的には核兵器や生物・化学兵器、対人用地雷やクラスター爆弾が対象だ。軍需品法が禁ずる「直接金融」とは、これらの開発、製造、販売に繋がる費用・支出の支払いや調達に対する「融資や贈与、その他金銭上の利益供与」を指す。

株式や債券など投資消費の取得(間接金融)は、「直接金融の禁止を回避する目的がある」ことが立証困難な場合のみ禁止される。

禁止兵器に関わる企業への投融資でも、兵器以外の事業に充てるものであれば同法は適用されない。通常兵器に関する規定もない。

スイス中銀の投資200億フランが対象に

swissinfo.chがSNBに兵器メーカーへの投資総額や詳細を尋ねたが、回答を拒否された。

だがSNBは四半期ごとに米国株の保有株数・額を米証券取引委員会(SEC)に提出している。2020年6月末時点の報告外部リンクによると、SNBはPAXの報告書が示した時点よりも大きな額を米兵器メーカーに投資している。

ストックホルム国際平和研究所外部リンクが列挙する米国の大兵器・軍需企業48社(うち9社はPAXが核兵器分野で活動中だと指摘)のうち、SNBは6月末時点で29社に対し、総額約24億ドル相当の株式を保有していた。

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SNBはイニシアチブに反対の立場だ。ホームページ外部リンクで「(可決されれば)時価で株式ポートフォリオの11%を占める300社以上の株をポートフォリオから除外しなければならなくなる」とその理由を説明した。ドイツ語圏の日刊紙NZZ外部リンクによると、これにより200億フラン(約2兆3千億円)相当の株式が売却されることになる。

「投資は合法」

SNBはまた、既に禁止兵器を製造する企業への新たな投資はやめていると説明する。

PAXの報告書で名指しされた民間金融機関も、投資は現行法に違反していないと主張する。スイス銀行協会もイニシアチブに反対の意見を表明した。

銀行は、PAXがまとめた兵器メーカーの中には、兵器製造は数ある事業のごく一部でしかない企業もあると訴えた。

UBSは、PAXやイニシアチブの要求に対し、ボーイングやエアバスのような一民間企業に銀行が全く投資できなくなることに異を唱える。

これに対し、PAXは「企業が(その様々な事業の間で)資金を再配分するのを防ぐことはできない」と反論する。このため投資家は、自分の資金が核兵器製造に使われないと保証できなかったとする。

4分の3は米金融機関

スイスの4機関が投じる90億フランは、世界の核兵器への投資総額7480億ドル(PAX試算)のわずか1.2%でしかない。

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PAXの報告書は28カ国の計325金融機関を対象としている。うち約200機関が米国の機関投資家で、トップ10も米機関投資家が占める。

(独語からの翻訳・ムートゥ朋子)

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