スイス、ロシア資産を凍結 大統領「今回限りの措置」
スイスは28日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を含むロシア人・企業の資産を凍結すると発表した。国内外からの圧力を受け、欧州連合(EU)の対ロシア制裁に全面的に追随する。
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- English Switzerland backs full EU sanctions against Russia (原文)
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中立国であるスイスはこれまで、ロシアの個人や企業の資産凍結を否定してきた。24日にEUが制裁リストに加えた人物・企業との新たな金融取引を禁止する方針を発表したが、既にスイス内にある資産については凍結しなかった。だが連邦政府は、ロシア・ウクライナ間の紛争においてそうした姿勢はもはや中立性と相容れないと判断し、方針転換を決めた。
イグナツィオ・カシス連邦大統領は同日の会見で、「これはスイスにとって今回限りの措置だ。中立の立場からすれば、簡単な決断ではなかった」と説明した。ウクライナが「侵略者の手に落ちるように仕組むのは、中立とはいえない」と断じた。ロシアによるウクライナ侵攻は「主権、自由、民主主義、自由の国にいる国民と体制に対する攻撃」であり、スイスも影響を受けていると非難した。
スイスは即日、ロシア人363人と企業4社の資産を凍結する。対象にはロシアのプーチン大統領、ミハイル・ミシュスチン首相、セルゲイ・ラブロフ外相が含まれる。
スイスは同日、ロシア機の領空飛行を禁止した。欧州諸国の措置に続いた。先週には制裁対象のロシア人の入国禁止を決めていた。
政府は声明で、「2014年に発動されたクリミア半島とセバストポリとの輸出入の禁止措置を、ウクライナ政府の管轄から外れたドネツク・ルガンスク州の一部地域にも拡大する」ことも発表した。
ウエリ・マウラー財務相は、スイスとロシアの金融関係は「非常に小さい」と明言した。スイスはロシアの銀行の国際銀行間通信協会(SWIFT)からの排除を支持すると述べた。
スイス国立銀行(中央銀行)のデータによると、スイス国内における2020年のロシア関連資産は104億フラン(約1兆3千億円)近くに上る。
ヴィオラ・アムヘルト国防相は、スイスはロシアによる報復措置に備えていると述べた。「具体的にはエネルギー供給、難民流入、サイバー攻撃といった分野を想定している」という。
スイス政府は同日、ウクライナとポーランドの国境に25トンの人道支援物資を届けることも発表した。国連難民局によると、ロシアの侵攻開始以来約50万人がウクライナを脱出し、ポーランドや他の近隣諸国に亡命している。

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