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国民投票結果、6週間の有給休暇は夢に終わる



ほとんど使われない別荘が、多く立ち並ぶグラウビュンデン州

ほとんど使われない別荘が、多く立ち並ぶグラウビュンデン州

(Keystone)

スイスで3月11日、五つの法案の是非をめぐる国民投票が行われた。法案の一つで、現在の最低4週間の有給休暇を6週間に引き上げる法案「全ての労働者に6週間の有給休暇を」は66.5%の反対で否決された。

また、別荘建設を制限する法案は50.6%の賛成でかろうじて可決された。

経済的負担増が危惧された有給休暇法案

 有給休暇日数を増やすことで、ストレスの多い労働環境の改善を目指した法案「全ての労働者に6週間の有給休暇を」は、賛成33.5%、反対66.5%で国民の過半数が反対に回った。スイスの法定最低有給休暇日数は4週間だが、フランス(25日)、スウェーデン(25日)に比べれば少ない。

 「6週間の有給休暇と聞けば、始めは誰もがいいと思うもの。だが、それを実現した場合にどんな問題が起こるのかをスイス国民は理解したのだ」。スイス放送協会(SRG/SSR)の取材に対し、スイス雇用者連盟(SAV/UPS)のトーマス・ダウム会長は喜びのコメントを発表した。

 スイス経済企業連合「エコノミースイス(economiesuisse)」も国民の決断に胸をなでおろし、同連合のホームページ上で次のように発表した。「スイスでは自国通貨の価値が高く、給料水準もほかの国よりも高めだ。スイスの企業がこうした問題を乗り切ろうと努力をしている最中、さらに労働者にかかるコストが上がったとしたら、スイス企業の競争力は一段と弱まってしまっただろう」

 一方、同法案を推進してきた労働組合「トラバーユ・スイス(Travail.Suisse)」は、「負担の多い労働環境は労働者の健康を損ない、経済的にも悪影響を与える。国民投票で否決されたからといって、この問題が解決されたわけではない」と述べ、今後も労働環境の改善を求めていく姿勢を明らかにした。

最後まで揺れた別荘建設制限への是非

 有給休暇法案に比べ、最終結果発表まで可否がはっきりしなかったのが、別荘を全住宅戸数の2割までと制限する法案「無制限の別荘建設に終わりを」だ。この法案をめぐっては推進派は環境保護を主張、一方反対派は、観光業が妨げられ行政手続きが複雑になると真っ向から対立していた。国民の意見は最後まで揺れたが、最終的には賛成50.6%、反対49.4%で可決された。

 法案可決を受け、今後連邦議会で具体的な法制化プロセスが議論される。5分の1にあたる市町村ではすでに別荘の割合が2割を超えており、これら市町村では2013年1月1日から別荘建設を許可できなくなる。

 反対派はこの結果に落胆を隠せない。アルプス地方の州から成る「山岳州政府会議(RKGK)」は、この法案を実現するには技術的にも法的にも多くの問題をはらんでいると話し、別荘建設や観光業が重要な地域に過度な負担がかからないよう推進側に配慮を求めた。

 一方、推進派の中心となったフランツ・ヴェーバー氏(84)はスイス放送協会(SRG/SSR)に対し「別荘建設を止めるのに、今後も何か対策を講ずる必要があるか見守っていく」と話し、「これは私の最後のイニシアチブ(国民発議)ではない。ほかにも推し進める法案はたくさんある」と今後の活動に意欲を示した。

書籍価格は自由競争で

 出版社が独占的に書籍価格を決め、書店はその固定価格でしか書籍を販売できないとする法案「定価販売制度」は、賛成43.9%、反対56.1%で否決された。この法案をめぐってはフランス語圏とドイツ語圏で結果が大きく分かれた。フランスの書店チェーンが市場に参入し、経営が悪化した書店が相次いだフランス語圏では、固定価格を支持する人が過半数を上回った。

 一方ドイツ語圏では過去に定価販売制度が導入されたが、独占禁止法に抵触するとして2007年から再び書籍価格が自由化されている。過去の経験からか、ドイツ語圏では今回の投票で過半数が出版界の価格独占に反対した。

 同法案を推進していたスイス書店出版社連盟(SBVV)は、同連盟ホームページ上で「2007年の定価販売制度廃止の悪影響は今後数年で現れてくる。そのため、有権者はこの法案の良さにまだ確信が持てなかったのだろう」と述べ、今後もスイスの書籍の多様性を守るために全力を注ぐと発表した。

そのほかの法案

 今回の国民投票ではほかにも二つの法案が投票にかけられた。公営ギャンブル(宝くじやカジノなど)の収益は公益(文化事業、社会福祉、スポーツ振興、養老遺族保健および傷害保険)の目的だけに使用することを憲法で規定する法案「公益のための賭博」は、賛成87%、反対13%の圧倒的多数で可決された。

 一方、将来マイホームを購入するための貯金を、所得税の課税対象から外す「建築貯蓄」法案は、賛成44.2%、反対55.8%で否決された。

 今回の投票では、投票率はどの法案も約44%だった。

3月11日の国民投票

1.「無制限の別荘建設に終わりを」

 これは、最小行政区の市町村で別荘を全住宅戸数の2割までと制限する法案で、イニシアチブ(国民発議)で提議された。イニシアチブとは、10万人分の署名で憲法改正を求める制度を意味する。市町村には、この規制が順守できたか年次報告書を提出することと、常に利用のある住宅を把握することが求められる。

2.「建築貯蓄」

初めての住宅購入を容易にするため、不動産購入のための貯金を所得税の課税対象から外す法案で、これもイニシアチブ。省エネや環境保護対策を目的とした改築にも適用される。

3.「全ての労働者に6週間の有給休暇を」

全ての被雇用者に最低年間6週間の有給休暇を認める法案で、これもイニシアチブに当たる。

4.「公益のための賭博」

公営ギャンブル(宝くじやカジノなど)の収益は公益(文化事業、社会福祉、スポーツ振興、養老遺族保健および傷害保険)の目的だけに使用することを憲法で規定する法案。もともとはイニシアチブで提出された法案だったが、政府と連邦議会は対案を提示した。イニシアチブ推進派は、国の対案は自分たちの要求をすべてカバーしているとして、イニシアチブを取り下げた。その結果、国の対案だけが投票にかけられる。

5.「定価販売制度」

書店は、出版社が独自に決めた固定価格でしか書籍を販売できないとする法案。連邦議会で可決された法案に、一部の国民が反対し、レファレンダム(議会が決めた法律改正・導入に対し、反対署名を提出して国民投票でその可否を決める制度)を提出。今回の投票に至った。 

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