The Swiss voice in the world since 1935
トップ・ストーリー
スイスの民主主義
ニュースレターへの登録
2022年9月25日の国民投票

ルツェルン州、バチカンの衛兵宿舎への改装費拠出案を否決

スイス衛兵
スイス衛兵の現在の宿舎は19世紀に建てられた Keystone/Fabio Frustaci

スイス各州で25日実施された州民投票で、ルツェルン州はバチカンにあるスイス衛兵の宿舎改修に拠出する案を否決した。ベルン州では16歳への投票年齢引き下げ案が大差で否決された。

公式結果外部リンクによると、有権者の 71.5%が財政負担に反対票を投じた。

州議会が40万フラン(約5800万円)の拠出を可決したのに対し、反聖職者団体や左派政党などが異議を唱えレファレンダム(州民表決)を提起した。

資金は改修計画を率いるスイスの財団に寄付される予定だった。

改修では19世紀に建てられた現在の宿舎3棟と、ローマにある管理本部の建物を近代化する。私的な寄付やスイス・バチカン政府など公的寄付を財源とする。スイス各州も寄付するが、ルツェルン州のように論争がないわけではない。

地元紙ルツェルナー・ツァイトゥング外部リンクによると、ルツェルン州はカトリック教徒が多く、衛兵も多く輩出している。だが政教分離に反すること、バチカンは十分な資力を備えていること、男性のカトリック信者しか使えない宿舎への拠出に納得できる説明がなかったことが敗因だと分析した。

改修費用は5千万フランと見積もられ、工事は2026年に開始される見込み。

時代遅れ

財団によると、1825年に建てられた宿舎は軍隊の現在の要件を満たしておらず、現代の建築規制にも準拠していない。

ローマのバチカンには約110人のスイス兵が駐留しているが、その数は135人に増員予定だ。スイス衛兵は1506年以来、バチカン市国の領土内でローマ教皇を守る治安部隊および警備部隊として活動している。

スイスは今年、バチカンに大使館を開設し、法王庁との外交関係を強化した。

ベルン州:投票年齢引き下げは否決

ベルン州では州レベルでの投票年齢を18歳から16歳に引き下げる議会案が投票にかけられたが、反対票67.2%で否決された。

右派・国民党など反対派は、法定成人年齢と投票年齢を異にするべきではないと主張した。他の主要グループは、民主主義に利するとして州レベルの投票・選挙について投票権を16・17歳にも広げることに賛成していた。

スイスでは過去10年で半数以上の州が投票年齢の引き下げを議論してきたが、多くが否決されてきた。これまでのところ若者の参政権を導入したのはグラールス州のみ。

同様の議論はルツェルン州など少なくとも8州で進んでいる。

英語からの翻訳:ムートゥ朋子

人気の記事

世界の読者と意見交換

ニュース

詐欺を警告するPC画面

おすすめの記事

スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決

このコンテンツが公開されたのは、 スイス銀行を狙った口座乗っ取り事件で、英国で刑事告訴されていた英国人学生(21)に禁固7年の有罪判決が言い渡された。スイス連邦検察庁によると、学生はスイスの銀行顧客から約240万フラン(約4億4000万円)を騙し取った。

もっと読む スイス銀行の顧客を騙した英国人留学生に有罪判決
オリーブの木

おすすめの記事

温暖化でスイスがオリーブの名産地に?

このコンテンツが公開されたのは、 スイス西部のフランス語圏は温暖化によりオリーブの木を育てやすくなっている。生産者らは2026年には栽培本数が2万本に倍増し、南部のイタリア語圏ティチーノ州を追い抜くと見込む。

もっと読む 温暖化でスイスがオリーブの名産地に?
山肌に描かれた巨大な絵

おすすめの記事

アルプスに新しい巨大地上絵が登場

このコンテンツが公開されたのは、 世界各地で巨大な地上絵を描くアーティストのSAYPE(セイプ)さんが、スイス南部ヴォー州のアルプス山頂に新作を完成させた。

もっと読む アルプスに新しい巨大地上絵が登場
原発

おすすめの記事

スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず

このコンテンツが公開されたのは、 スイス北部デニケン(ソロトゥルン州)のゲスゲン原子力発電所が2カ月近く、発電を停止している。給水配管システムに過負荷がかかっている可能性があり、安全性が証明されるまで発電を再開できていない。

もっと読む スイス・ゲスゲン原発、定期検査後に稼働再開できず
セメンヤ

おすすめの記事

欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」

このコンテンツが公開されたのは、 欧州人権裁判所(ECHR)大法廷は10日、スイスが女子陸上五輪金メダリストのキャスター・セメンヤさん(南アフリカ)の権利を侵害したとする2023年の判決を支持した。

もっと読む 欧州人権裁判所、スイスは「セメンヤさんの権利を侵害」
スイス公共放送協会

おすすめの記事

スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

このコンテンツが公開されたのは、 スイス放送協会(SRG SSR)は政府の予算削減を踏まえた組織再編計画を発表した。4言語圏の放送局のスポーツ、ドラマ、制作、配給、人事、財務、ITサービスなど各部門を縦割りで再編成する。

もっと読む スイス公共放送協会、大規模な組織再編計画を発表 人員削減も

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部