スイスの連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)の研究者は、新型コロナウイルスがさらに変異し、感染力が強くワクチンも効かない変異株が出現すると警告する。
このコンテンツが公開されたのは、
バーゼルにあるETHZ生物システム科学工学部のサイ・レディ外部リンク准教授(免疫学)は大衆紙ブリック紙日曜版外部リンクに「ワクチンに頼れなくなる新しい変異株が出てくる可能性が非常に高い」と語った。そうした変異株は間違いなくいずれスイスにも入り込むとの見方を示した。
「そのため今後数年間は新しい変異株に対応し続けるため、複数のワクチンを準備しなければならない」
レディ氏は南アフリカで最初に発見されたベータ株やブラジルのガンマ株は突然変異により抗体を部分的に回避できると指摘。一方、インドのデルタ株は伝染力がはるかに高いものの、そうした突然変異は生じていない。
だがそれぞれの特徴が組み合わさることは「避けられない」と指摘。「ベータ株やガンマ株の伝染力が高くなったり、デルタ株が突然変異を起こしたりすれば、パンデミック(世界的流行)は新たな局面を迎える。これは来年の大きな問題になるだろう。COVID-22は現在の状況よりさらに深刻になりうる」と述べた。
おすすめの記事
おすすめの記事
「感染拡大を抑えれば、ウイルスの変異は防げる」
このコンテンツが公開されたのは、
ウイルスの変異株は本当に怖い存在なのか?ワクチンの効果は?スイス・ベルンの社会・予防医学研究所でゲノム疫学を研究するエマ・ホドクロフト氏に話を聞いた。
もっと読む 「感染拡大を抑えれば、ウイルスの変異は防げる」
感染者の増加
スイスでは6月末以降、新規感染者が増加している。入院患者も増えているが、死亡者は低水準を保っている。ワクチン接種率は人口の5割を超えたばかりだ。
感染が増えたのは主にデルタ株で、ワクチンを接種していない10~29歳の若年層を中心に広がっている。連邦科学タスクフォースを率いるタンヤ・シュタッドラー氏は先週、スイス公共放送(SRF)とのインタビューで「非常に難しい状況にある」と述べた。
前出のレディ氏は、コロナの流行がこの秋から冬にかけて昨秋並みの深刻さになるとの予測を示した。第2波が襲来した昨秋は、1日の感染者数が一時1万人を超えた。
同氏は、「ワクチン接種率が格段に上がらない限り、厳しい制限措置を設けることでしか最悪の事態は防げない」と言う。最新の研究によると、デルタ株はウイルス量が非常に多いため、ワクチン未接種の人がウイルスを保有すると、たくさんの人に感染させる「スーパースプレッダー」になる可能性があることが分かったという。
「12歳未満の子供はワクチンを接種できないため、スーパースプレッダーになる可能性が高い集団だといえる」
またデルタ株にワクチンが効かないケースがあるのは、ウイルス量の多さが背景にあると指摘。「これには抗体を多く持つことで対抗しなければならない。まさに3回目のワクチンが効果的だ」と述べた。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは4月1日、新型コロナウイルス感染症に対する全国的な感染対策を全て撤廃した。秋冬の感染再拡大が懸念される中、スイス公衆衛生当局はマスク義務の再開は必要ないとしている。
もっと読む スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし
おすすめの記事
ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。
もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
おすすめの記事
スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイス国民議会(下院)は17日、ロシアのオリガルヒ(新興財閥)の資産を追及する主要7カ国(G7)の国際作業部会には参加しないことを決めた。
もっと読む スイス議会、G7のロシア資産追及チームへの参加を否決
おすすめの記事
米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
このコンテンツが公開されたのは、
米政府高官は14日、イランによるイスラエル攻撃の前後に、米国は利益代表国であるスイスを通じてイランと接触していたと述べた。
もっと読む 米・イラン、攻撃前に「スイスを通じて」接触
おすすめの記事
チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
このコンテンツが公開されたのは、
チューリヒの春祭り「セクセロイテン」が15日開かれた。巨大な「雪男」を燃やして夏の天気を占う恒例行事は強風により中止となった。
もっと読む チューリヒ春祭りの雪男、強風で燃えず 歴史上初
おすすめの記事
スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス政府は10日、「大きすぎて潰せない(TBTF)」銀行に関する規制改革案を発表した。UBSと他の「システム上重要な銀行」3行は、破綻時のスイス経済への影響を抑えるためにより厳しい資本要件を課される必要があると述べた。
もっと読む スイス政府、銀行規制の改革案を発表 UBSの資本要件強化へ
続きを読む
おすすめの記事
コロナ流行「第2波と同規模にも」 コロナTF新任トップ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの新型コロナウイルスに関する連邦科学タスクフォース(TF)の新座長タンヤ・シュタッドラー氏は、今の増加傾向が続けば、昨秋の第2波と同じくらいの負荷が医療機関にかかると予測する。
もっと読む コロナ流行「第2波と同規模にも」 コロナTF新任トップ
おすすめの記事
「感染拡大を抑えれば、ウイルスの変異は防げる」
このコンテンツが公開されたのは、
ウイルスの変異株は本当に怖い存在なのか?ワクチンの効果は?スイス・ベルンの社会・予防医学研究所でゲノム疫学を研究するエマ・ホドクロフト氏に話を聞いた。
もっと読む 「感染拡大を抑えれば、ウイルスの変異は防げる」
おすすめの記事
長期化するパンデミック より厳しい国際的な保健ルールが必要か?
このコンテンツが公開されたのは、
ほとんどの国で新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)に対する準備ができておらず、世界保健機関(WHO)の勧告も散発的にしか実施されていない。このウイルスが流行を繰り返す危険性がある中、国際的な保健政策は今後どうあるべきなのだろうか?一部の世界のリーダーやWHOは、「パンデミック条約」の策定を提案している。しかし、この国際条約が現実的かどうかについては、専門家やWHOの間でも意見が分かれている。
もっと読む 長期化するパンデミック より厳しい国際的な保健ルールが必要か?
おすすめの記事
スイスのデルタ株、新規感染者の3割に
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで型コロナウイルスの変異株が広がりつつある。連邦保健庁は6日、インドで最初に見つかったデルタ株が新規感染者の3割を占めると明かした。
もっと読む スイスのデルタ株、新規感染者の3割に
おすすめの記事
新型コロナウイルスに変種 研究者が警告
このコンテンツが公開されたのは、
スペインで突然変異した新型コロナウイルスが、夏以降、欧州で急速に拡大している。現在、欧州各国で新型コロナウイルス感染症の新規感染者の大半がこの型を占めているという。ファイナンシャル・タイムズ紙が報じた。
もっと読む 新型コロナウイルスに変種 研究者が警告
おすすめの記事
コロナ最新世論調査 再び楽観的ムードに
このコンテンツが公開されたのは、
世論調査会社ソトモが9日発表した新型コロナウイルスに関する最新の世論調査で、スイス国民は再び楽観的なムードに包まれていることが分かった。
もっと読む コロナ最新世論調査 再び楽観的ムードに
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。