アルプス山脈で増え続けるオオカミの個体数を把握するため、スイス政府は年間約50万フラン(約7千万円)を費やしている。
このコンテンツが公開されたのは、
同資金はオオヤマネコやクマなど、スイスに生息する全ての大型肉食動物を監視するために拠出する政府資金(年間110万フラン)の一部。肉食・野生動物の保護管理財団「Kora」、並びにローザンヌ大学の保全生物学研究所に配分される。議会での質問に政府が回答した。
現在スイスにはオオカミの群れが20存在し、合計約150頭生息する。Koraによると、今後3年間で少なくとも50群れに分かれた個体数350匹まで増えると見られる。
そうなればオオカミと人間の間で摩擦が生じるのは必至だ。特にアルプス山岳部の農家では、家畜がオオカミによる被害を受けることが予測される。
アルプス山岳部に位置する州は最近、この問題に対処すべく政府に更なる支援を求めた。
ヴァレー(ヴァリス)州、グラウビュンデン州、グラールス州、ティチーノ州、ウーリ州では、今年既に合計千頭の羊と牛がオオカミに襲われた。
2020年のスイス国民投票では、個体数が増えたオオカミの駆除に関する規制緩和が有権者の反対により否決された。現行法でオオカミは保護種に指定されているため、一定数の家畜を殺した場合にのみ駆除が認められる。
英語からの翻訳:シュミット一恵
おすすめの記事
ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心
このコンテンツが公開されたのは、
6月15~16日に開催されるウクライナ平和サミットの舞台として、ルツェルン湖を望むホテル「ビュルゲンシュトック・リゾート」が注目を浴びている。かつては庶民も受け入れられる高級リゾートして地元に愛されていたが、近年は事情が違うようだ。
もっと読む ウクライナ平和サミットの舞台スイス・ビュルゲンシュトック 地元住民は離心
おすすめの記事
スイスで花粉症増加 気候変動・大気汚染が背景に
このコンテンツが公開されたのは、
気候変動の影響で、スイスで花粉症患者が増加している。有症率は2割で、経済損失は最大で年間6900億円に上る。
もっと読む スイスで花粉症増加 気候変動・大気汚染が背景に
おすすめの記事
ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も
このコンテンツが公開されたのは、
欧州国別対抗の音楽祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」の決勝が11日、スウェーデン南部マルメで行われ、「ノンバイナリー」を自認するスイス代表のNemo(24)が優勝した。会場周辺ではイスラエル参加に対する大規模な抗議活動も行われた。
もっと読む ユーロビジョン、「ノンバイナリー」自認のスイス代表優勝 イスラエル参加に抗議も
おすすめの記事
スイス北東部でオーロラ観測
このコンテンツが公開されたのは、
スイス北東部のゼンティス山頂で6日未明、オーロラが観測された。
もっと読む スイス北東部でオーロラ観測
おすすめの記事
ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
このコンテンツが公開されたのは、
スイスアーミーナイフの製造で知られるビクトリノックス社は、世界で広まるナイフ規制強化の波に対応するため、刃のないモデルの開発に取り組んでいる。カール・エルズナー最高経営責任者(CEO)がスイス紙のインタビューで明かした。
もっと読む ビクトリノックス、刃のないアーミーナイフを開発
おすすめの記事
スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦運輸省民間航空局(BAZL/OFAC)が3日発表した2023年の航空安全報告書によると、民間・小型航空機の事故件数は9995件と、前年から24%増加した。
もっと読む スイス飛行機事故、24%増 紛争地上空ではGPS妨害も
おすすめの記事
「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦裁判所(最高裁)は先月26日、チューリヒ地方裁判所の判事の1人に対し、気候活動家に関する裁判への関与を禁じる判決を下した。この判事が過去の裁判で活動家への団結心を見せたとして、考え方に偏りがあると結論付けた。
もっと読む 「気候活動家への団結心」見せた判事、類似事件への関与禁止 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦統計局は25日、2023年の名目賃金は1.7%上昇したと発表した。インフレ(年平均2.1%)に相殺され、実質賃金は0.4%低下した。
もっと読む スイス、2023年の実質賃金は0.4%低下
おすすめの記事
製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの大手製薬ノバルティスは22日、2025年で任期満了となるヨルク・ラインハルト取締役会長の後任に、ジョバンニ・カフォリオ氏を選出すると発表した。
もっと読む 製薬大手ノバルティス、次期会長候補に米製薬BMS出身者選出
おすすめの記事
スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
このコンテンツが公開されたのは、
エジプト考古省は21日、約30年前に盗まれ国外に流出したラムセス2世像の頭部破片が同国に到着したと発表した。
もっと読む スイスで見つかったラムセス2世像破片、エジプトに到着
続きを読む
おすすめの記事
生物多様性の保全は地域社会から
このコンテンツが公開されたのは、
生物多様性の保全に関する国際交渉は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で延期されるなど、進展に乏しい。そんな中、人類が地球環境に与える影響を調査する研究者は、地域に根差した保全活動に希望があると主張する。
もっと読む 生物多様性の保全は地域社会から
おすすめの記事
ウルフドッグの国内生存確認 射殺後の遺伝子検査で
このコンテンツが公開されたのは、
スイス東部のライン渓谷で3月に射殺された野生動物が、オオカミと犬が交配したウルフドッグであったことが遺伝子調査で分かった。オオカミの交雑種が確認されたのは、スイスでは初めて。当局は生態系への影響を注視している。
もっと読む ウルフドッグの国内生存確認 射殺後の遺伝子検査で
おすすめの記事
アルプスの住みかを気に入った大型のネコ
このコンテンツが公開されたのは、
スイスで1900年代、乱獲により一時絶滅したオオヤマネコが、政府の繁殖政策などにより現在は300頭まで持ち直した。
もっと読む アルプスの住みかを気に入った大型のネコ
おすすめの記事
オオカミは駆除されるべき存在?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは毎年4千~6千匹のヒツジが病気、転落、落雷などが原因で死亡している。それに比べ、オオカミに襲われて死亡するヒツジの数は少ない。しかし、スイス南西部のヴァレー州では多くの住民が捕食者駆除地域の開設を求めている。(SRF/swissinfo.ch)
スイスで2016年に飼育されたヒツジの数は約34万匹。このうち389匹がオオカミに襲われて死亡した。
スイスには推定30~35匹のオオカミが生息しているが、現在ヴァレー州では、そのオオカミと並んでクマ、オオヤマネコなどの捕食者を駆除しようとする動きがある。しかし、これらの動物はベルンで締結された国際協定で保護動物に指定されている。オオカミの居場所はないのか?地元住民に話を聞いた。
もっと読む オオカミは駆除されるべき存在?
おすすめの記事
保護か駆除か、オオカミをめぐる対立
このコンテンツが公開されたのは、
8月に入り、グラウビュンデン州カランダのオオカミの群れに、今年生まれたオオカミの子3匹が確認された。森の茂みのあちこちに設置された監視カメラがその姿を捕らえた。3匹以上生まれている可能性もある。これまでに1シーズンで5…
もっと読む 保護か駆除か、オオカミをめぐる対立
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。