群れを狙うオオカミを見張る羊飼い。スイスアルプスにて
Keystone / Arno Balzarini
アルプス山脈で増え続けるオオカミの個体数を把握するため、スイス政府は年間約50万フラン(約7千万円)を費やしている。
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同資金はオオヤマネコやクマなど、スイスに生息する全ての大型肉食動物を監視するために拠出する政府資金(年間110万フラン)の一部。肉食・野生動物の保護管理財団「Kora」、並びにローザンヌ大学の保全生物学研究所に配分される。議会での質問に政府が回答した。
現在スイスにはオオカミの群れが20存在し、合計約150頭生息する。Koraによると、今後3年間で少なくとも50群れに分かれた個体数350匹まで増えると見られる。
そうなればオオカミと人間の間で摩擦が生じるのは必至だ。特にアルプス山岳部の農家では、家畜がオオカミによる被害を受けることが予測される。
アルプス山岳部に位置する州は最近、この問題に対処すべく政府に更なる支援を求めた。
ヴァレー(ヴァリス)州、グラウビュンデン州、グラールス州、ティチーノ州、ウーリ州では、今年既に合計千頭の羊と牛がオオカミに襲われた。
2020年のスイス国民投票では、個体数が増えたオオカミの駆除に関する規制緩和が有権者の反対により否決された。現行法でオオカミは保護種に指定されているため、一定数の家畜を殺した場合にのみ駆除が認められる。
英語からの翻訳:シュミット一恵
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