6月7日、スイスのパイエルヌ基地で行われたFA-35Aのテスト飛行。スイス連邦政府は老朽化した戦闘機の刷新のため、総額60億フランの戦闘機購入計画を立ち上げた。現在、候補機の選定を進めている
© Keystone / Peter Klaunzer
スイス連邦政府が進める戦闘機購入計画で、スウェーデン・サーブ社のJAS39グリペンEが、スイス空軍基地で今月末に予定している候補機のテスト飛行に参加しないことになった。グリペンEは候補機レースから脱落、F35Aを含む4機に絞られた。
このコンテンツが公開されたのは、
サーブ社は13日、テスト飛行への不参加を発表。声明外部リンクによると、テスト飛行は2019年時点で運用準備が整った機体に限られ、開発途中のグリペンEはこの条件を満たさないため、連邦国防省装備局(armasuisse)が同社にテスト飛行へ参加しないよう勧告した。テスト飛行は今月24~28日を予定している。
同社の最新鋭機グリペンEは現在、スウェーデン、ブラジルで製造・テスト中。スイス軍による新戦闘機候補の募集に対し、今年1月25日、グリペンEを申請していた。
同社は「テスト飛行の対象は2019年時点で運用準備が整った航空機とするというスイスの計画と、グリペンEの開発計画が合致しない」と述べた。ただ「スイス政府が配備を予定する時期には運用を開始し、必要とされる機能もすべて搭載している」と強調した。
連邦国防省装備局は同日、声明外部リンクを出し、テスト飛行の延期は他の候補機との公平性を保てないとして認めなかった。
スイス連邦政府は老朽化した戦闘機の入れ替えのため、計60億フラン(約6600億円)の戦闘機購入計画を進めており、空軍基地で候補機のテスト飛行を実施していた。残る4機はF35A、ラファール、F/A-18E/Fスーパーホーネット、ユーロファイタータイフーン。
>>スイス、どの戦闘機を買う?
候補機は2020年中に評価を終え、政府が最終決定を行う。新しい戦闘機の導入は2025年までに完了する見通し。戦闘機購入計画は任意のレファレンダムの対象で、今後国民投票にかけられる。
>>国民投票にかけられる戦闘機購入計画とは?
おすすめの記事
おすすめの記事
レファレンダムとは?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスでは国民が憲法改正案を提案したり、連邦議会で承認された法律を国民投票で否決したりできる。
もっと読む レファレンダムとは?
新しい戦闘機購入計画は国内で物議を醸している。 スイス連邦政府は過去にもグリペン戦闘機22機を総額31億フランで購入する計画を立ち上げたが、2014年の国民投票で53%の反対により否決された。
おすすめの記事
おすすめの記事
5種類の戦闘機、スイスはどれを買う?
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦内閣が80億フラン(約9200億円)をかけて新しい戦闘機と迎撃ミサイルを購入する計画を進めている。
もっと読む 5種類の戦闘機、スイスはどれを買う?
おすすめの記事
スイス、メートル法準拠から150年
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは150年前にメートル条約に調印し、メートルやキログラムを導入した。それまでスイスの測定単位は地域や使途によって大きく異なっていた。
もっと読む スイス、メートル法準拠から150年
おすすめの記事
中国の人身売買組織を摘発 スイス・ベルン州警察
このコンテンツが公開されたのは、
ベルン州警察は19日、大規模な人身取引事件を摘発したとい発表した。容疑者は中国籍の5人で、146人の中国人女性をスイスに誘い出し、性労働に就かせていた。
もっと読む 中国の人身売買組織を摘発 スイス・ベルン州警察
おすすめの記事
まるで曲芸師 ダムの絶壁を歩くアイベックスたち
このコンテンツが公開されたのは、
スイス南部ヴァレー州エヴィオナにあるダムでは今月中旬、約60頭のアイベックスが高さ50メートルの絶壁を伝い歩く姿が観察された。毎年この時期に天然塩を探し求める姿は、スリル満点の曲芸さながらだ。
もっと読む まるで曲芸師 ダムの絶壁を歩くアイベックスたち
おすすめの記事
スイス軍、長距離ミサイルの購入を検討
このコンテンツが公開されたのは、
スイス軍が長距離巡航ミサイルの購入を検討している。国境防衛を強化し反撃能力を保有することで潜在的な敵対勢力の攻撃を未然に防ぐ狙いだ。
もっと読む スイス軍、長距離ミサイルの購入を検討
おすすめの記事
CO₂ 回収・除去のスイス新興企業クライムワークスが人員削減へ
このコンテンツが公開されたのは、
大気中の二酸化炭素(CO₂)回収・除去を専門とするチューリヒの新興企業クライムワークスが、大規模な人員削減の危機に瀕している。
もっと読む CO₂ 回収・除去のスイス新興企業クライムワークスが人員削減へ
おすすめの記事
ルツェルンのラフマニノフ別邸の庭園が一般公開に
このコンテンツが公開されたのは、
スイス・ルツェルン州はロシアの作曲家セルゲイ・ラフマニノフの別荘「ヴィラ・セナール」の庭園を15日から一般公開する。ルツェルン湖畔ヘルテンシュタインにあるこの邸宅に、ラフマニノフが1932~39年暮らしていた。
もっと読む ルツェルンのラフマニノフ別邸の庭園が一般公開に
おすすめの記事
関税協議「スイス最前列に」、米財務長官
このコンテンツが公開されたのは、
ジュネーブで行われた貿易問題を巡る米中閣僚級協議の成功を受け、ベセント米財務長官は12日、「スイスは貿易協定締結の最前列に躍り出た」と語った。
もっと読む 関税協議「スイス最前列に」、米財務長官
おすすめの記事
スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス中部ニトヴァルデン準州は5日、スマートフォンをはじめとするIT機器の小学校での使用禁止を発表した。授業目的や緊急時などを除き、全面的に学校でスマホが使えなくなる。
もっと読む スイス・ニトヴァルデン準州の小学校、スマホ禁止へ
おすすめの記事
ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
このコンテンツが公開されたのは、
メーデーの1日、ジュネーブで国連欧州本部職員500人近くが国連の緊縮財政に反対する異例のデモ活動を実施した。
もっと読む ジュネーブ国連職員約500人が予算削減に反対するデモ
おすすめの記事
バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
このコンテンツが公開されたのは、
5月11~17日の欧州国別対抗の音楽祭「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト(ESC)」開催中、バーゼルでは「カラオケ・トラム(路面電車)」が運行する。ビンテージ車両で90分間かけて街を走る間、乗客は無料で歌い踊ることができる。
もっと読む バーゼルで「カラオケ路面電車」走行 欧州歌合戦に合わせ
続きを読む
おすすめの記事
スイス政府、総額6千億円の戦闘機購入計画を国民投票へ
このコンテンツが公開されたのは、
日本では安倍晋三首相がF35戦闘機の大量購入をトランプ大統領に表明したとして物議を醸したが、遠く離れたスイス連邦内閣は戦闘機と迎撃ミサイル購入計画のうち、内閣は総額60億フラン(約6600億円)の戦闘機購入だけを国民投票にかけることを決めた。
もっと読む スイス政府、総額6千億円の戦闘機購入計画を国民投票へ
おすすめの記事
武器輸出企業名の公開命じる判決 スイス最高裁
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの記者が国に武器輸出企業の名前を公開するよう求めた裁判で、スイス連邦最高裁判所は24日、連邦経済相経済管轄局(SECO)の上告を棄却。連邦行政裁判所の判決通り、同局に企業名の公開を命じた。
もっと読む 武器輸出企業名の公開命じる判決 スイス最高裁
おすすめの記事
スイス、国営の武器製造会社を完全民営化へ
このコンテンツが公開されたのは、
スイス連邦内閣は15日、国営武器製造会社ルアグ(RUAG)の事業変更計画を承認した。スイス軍への兵器供給事業は切り離し、航空機製造ルアグMROインターナショナルを航空宇宙技術会社とするほか、将来的には完全民営化する。
もっと読む スイス、国営の武器製造会社を完全民営化へ
おすすめの記事
スイス上院、武器輸出の規制強化案を否決
このコンテンツが公開されたのは、
スイスの全州議会(上院)は11日、武器輸出の規制を強化する動議2件をいずれも否決した。
もっと読む スイス上院、武器輸出の規制強化案を否決
おすすめの記事
スイス国防相、他国と救援装備の共有を提案 災害増加に備え
このコンテンツが公開されたのは、
スイスのギー・パルムラン国防相は、火災や干ばつのような緊急事態に対応するために、ヘリコプターなどの救援航空機を他の国と共有する考えを示した。
もっと読む スイス国防相、他国と救援装備の共有を提案 災害増加に備え
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。